明治13(1880)年創業の「宮本商行」は、東京・銀座に本店を構える銀製品の専門店。宮内庁御用達として宮家の食卓を彩り、宮中の晩餐会で国賓をもてなすなど、その功績から厚い信頼を得てきた。純度が高い銀はやわらかく実用には不向きとされるが、本品には「スターリングシルバー」という純度925/1000の銀を使用。
そんな格式高い老舗が手がける本品は、アルファベットを花のようにデザインした銀製のバッジだ。イニシャル2文字を組み合わせた同店オリジナルの書体は流麗な曲線を描いて美しく、そのデザインは676種にものぼる。
「一見イニシャルには見えないデザインが、控えめであたたかみのある銀の輝きと相まって、長年身につけても飽きがきません」と、同社取締役の上野浩司氏は語る。
数名の工芸職人たちが約1か月かけて製作。糸ノコギリで文字を切り出し研磨するが、曲線や細い部分のカットは特に困難を極めるという。台座の留め具はデザインによって付ける位置を変えているため、重みでバッジが回転することなく常に本体の正面が保たれる。
銀はヒ素などの毒に反応することから、かつては毒見に使われ、魔除けとしても愛されてきた。華やかで存在感のあるバッジを胸元や鞄などに飾り、これからの人生をともに歩んではいかがだろう。
【今日の逸品】
花文字の銀製イニシャルバッジ
宮本商行
22,000円(消費税込み)