正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれません。
Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれません。
「脳トレ漢字」第74回は、「月極」をご紹介します。「月極駐車場」など、普段から町中で目にする言葉なのではないでしょうか。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「月極」はなんと読む?
「月極」という漢字、読み方に心当たりはありますか? 普通に音読みをすれば「げっきょく」ですが……
正解は……
「つきぎめ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「1か月を単位として契約などをきめること」と説明されています。例えば「月極の駐車場」「月極で新聞をとる」といった使い方が挙げられます。
「つきぎめ」という読み方につられて、つい「月決」の字をイメージしてしまいますが、正しい表記は「月極」です。
「月極」の漢字の由来とは?
「月極」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「月」は「月ごとに」を、「極」は「約束、とりきめ」を意味します。「極」の「き(める)」という読み方に違和感を抱く方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「極」という字は、江戸時代から戦前にかけては「約束する」という意味で、「きまる」「きめる」と読んでいました。しかし、戦後に制定された漢字のルールに基づき、読み方が変わってしまったのです。その際、「極」の「きまる」「きめる」という読み方は廃止されてしまいました。
なぜ「月決」ではなく、「月極」なのか?
では、なぜ読みづらい「月極」の漢字が今も使われているのでしょうか?
その理由は諸説ありますが、「極」は「決」よりも「契約する、皆で決める」という意味合いが強いからです。「決」は「決定、決断」の意味が込められています。そのため、「決」では「月ごと、毎月の契約」というニュアンスが薄れてしまうのです。
また、戦前の「極める」という読み方の慣習の名残ともいえます。このため、今もまだ「月極」という表記が残っているのです。ただ、一部の地域では「月決め」「月決」の表記が使われていることもあります。
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いかがでしたか? 今回の「月極」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 普段目にする何気ない言葉、その中に感じられる言葉の歴史に目を向けるのも、面白いのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/豊田莉子(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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