とろける旨さに、ほっぺが崩落

「ミトンズシュークリーム」324円。時間をかけて炊き上げたクリームの深い味わいとコクを堪能。発売以来31年、店の顔として愛されている。径約6cm、約43g。

指導 小嶋ルミさん(パティシエ)

日本の女性パティシエの草分け的存在。ケーキショップとカフェ、お菓子教室を経営しながら、多くのレシピ本でプロの技術を伝える。近著に『小嶋ルミのおいしいクッキーの混ぜ方』。

オーブン・ミトン

週末は開店時間前に行列ができるほどの人気店。夫のフレンチシェフ、小嶋晃さんと二人三脚で店を運営している。シェフランチは前日までの予約制。お菓子教室の「入門コース」は単発でも受講可能だ。

東京都小金井市本町1-12-13 電話:042・388・2217 営業時間:10時30分~17時 定休日:月曜〜水曜、年末年始、夏期 交通:JR中央線武蔵小金井駅から徒歩約8分



素人でもシュークリームは作れますか?──作れます。
数々のレシピ本やテレビの料理番組で知られる、パティシエの小嶋ルミさんはそう断言した。
シュークリームは小嶋さんの店『オーブン・ミトン』を代表する人気商品だ。シュークリームには、洋菓子に対する思いがすべて詰まっていると、小嶋さんは語る。

「自分で作るお菓子の、いちばんおいしいクリームを使ったものがシュークリームだと思っています」
一気に敷居が高くなった。だがそこは誰でも作れるレシピを『サライ』のために考えてもらった。

「シュー生地はほぼ店と同じ作り方なのですが、難しいのはクリームなんです。店ではカスタードクリームに泡立てた生クリームをあとから加えて混ぜ込みますが“サライ流”の作り方では最初から生クリームを加え、コクを出すためにカラメルを入れます。こちらのほうが作りやすいと思います」

でき上がりをいただいた。
「もうこれで充分、というくらいおいしいでしょう!? でも、これは誰でも作れてしまうから、店では出せないんです」(笑)


シュー生地を作る

シュー生地
材料(小サイズ16~18個分)
牛乳 45g
水 45g
グラニュー糖 小さじ1/3
発酵無塩バター 37g
塩 少々
薄力粉  46g
全卵 90~95g(M玉2個程度)
粉糖 適量(仕上げ用)

1.鍋に牛乳、水、発酵無塩バター、グラニュー糖、塩を入れ強火にかける。バターが溶け、沸騰してきたら火を止める。

2.火からおろして薄力粉を加え、泡立て器ですばやく混ぜる。再び中火にかけて鍋底にうっすらと生地がつくまで約1分間火を通す。

3.生地をボウルに移し、熱いうちに溶き卵を4~5回に分けて加えながら、ゴムベラでなめらかになるまで混ぜ続ける。

4.生地をすくうと、ゴムベラに三角の形を残して落ちるくらいが固さの目安。生地が冷めると目安がわかりにくくなるので手早くやる。

5.丸口金を付けた絞り袋に生地を入れる。天板にオーブンペーパーを敷き、直径3.5cm程度の丸形に絞り出す。

絞り袋がない場合はスプーンでもよい。

生地にたっぷり霧を吹いておく。

6.230度で予熱したオーブンで210度で17分、180度で6分、150度で3分焼く。その間、扉は開けない。焼き色が付いたら完成。

冷めたら横半分に切る。外はしっかり、中はしっとり焼き上がっている。

カスタードクリームを作る

カスタードクリーム
〈カラメル用〉
グラニュー糖 20g
湯(50℃以上) 10cc

牛乳 400cc
生クリーム 100cc
グラニュー糖 85g
卵黄 100g(M玉3個程度)
薄力粉 22g
コーンスターチ 16g
発酵バター 12g
バニラビーンズ 1/4本(またはバニラペースト少々)

1.カラメルを作る。鍋にグラニュー糖と湯を入れ中火で加熱。焦げ色が付いたら火を止め、キッチンペーパーを敷いたバットにあけて固める。

2.ボウルに卵黄、グラニュー糖を分量の3分の2、バニラビーンズを入れて均一に混ぜる。さらに薄力粉とコーンスターチを加えよく混ぜる。

3.鍋に牛乳、生クリーム、グラニュー糖の残りを入れ、沸騰してきたら弱火で20~30秒煮詰め、味を凝縮。2のボウルに注ぎ混ぜる。

4.ボウルに入った3を鍋に漉し入れ、混ぜながら強火にかける。沸騰したら中火で1分半~2分混ぜながら煮る。火を止めて発酵バターを加え、よく混ぜる。

5.鍋に入った4の生地が熱いうちに1で作ったカラメル(5〜10g)を混ぜて溶かす。カラメルは、前もってラップに包んで麺棒などで細かく砕いておくとなじみやすい。

6.氷水を張ったボウルに5を浸し、ゴムベラで混ぜながら冷やす。粘度が出てきたら、さらに滑らかになるまでよく混ぜる。

7.口金のない絞り袋に6の生地を入れ、シュー皮に盛る。1個分のクリーム量は35g前後。絞り袋がなければスプーンでもよい。

完成

粉糖をかけて完成。生クリームとカラメルが入るので、牛乳だけのカスタードクリームより風味豊かに仕上がる。クリームがフレッシュなうちに、作りたてをいただきたい。

取材・文/宇野正樹 撮影/多賀谷敏雄

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※この記事は『サライ』本誌2021年12月号より転載しました。

 

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