簡単なようで、食感や味わい、形、調理法など、実は個性的な楽しみ方が提案されている日本のプリン。ここでは、老舗から注目の新店まで、全国各地で話題となっている名店の味を厳選して紹介する。
熱々のとろとろ食感を楽しむ
私のプリン食堂(大阪)
居酒屋でデザートとして大人気だったプリンに着目し、コロナ禍の影響もあり、今年、業態を変えてプリン専門店として再出発したのが『私のプリン食堂』だ。
「この店でしか食べられない、ひと手間かけたプリンを使ったメニューを提供しています」と責任者の安達美穂さん(37歳)は話す。
早くも地元で話題となっているのが、プルプルと揺れるプリンをのせた「“焼きたて”ふわとろプリントースト」。デニッシュ生地を卵黄、生クリーム、バニラビーンズにハチミツを加えた液に、ひと晩つけ込んでから焼き上げた、プリン味のフレンチトーストだ。
その上に自家製プリンをのせ、仕上げに塩味の効いた生クリームをかける。トーストから染み出る熱々のプリン味や、のっているプリンの甘さと融合し、独特の甘辛い味わいが完成する。
プリンが主役の創作メニュー
個性的な創作メニューは他にも。
半熟カステラの中にとろとろのプリンを詰め、鍋に入れて蒸し上げた「“蒸したて”半熟プリンカステラ」だ。円錐形の蓋を開けるとふわーっと蒸気がたつ。
「牛乳と卵で作る半熟カステラならプリンと相性がよく、より一層プリンが楽しめるのではないかと考えました」(安達さん)
当初は蒸し器などを使う提供方法も考えたが、より蓋の形が個性的なタジン鍋を採用したという。
この蒸し上がったばかりの半熟カステラにハチミツをかけ、さらにカラメルのジュレやローストしたナッツを加えて味わう。ハチミツやカラメルの染みたカステラと、熱々のとろけるプリンを同時に楽しむことができる。
同店では、プリンを主役に据えた創作メニューを多数考案しており、今後もオリジナリティに溢れたデザートが登場しそうだ。
私のプリン食堂
大阪市中央区難波千日前14-17 電話:06・6635・5533 営業時間:11時〜18時 定休日:無休 交通:南海電鉄なんば駅下車、徒歩約5分
取材・文/飯島千代子 撮影/山下亮一、高嶋克郎、鈴木暁