簡単なようで、食感や味わい、形、調理法など、実は個性的な楽しみ方が提案されている日本のプリン。ここでは、老舗から注目の新店まで、全国各地で話題となっている名店の味を厳選して紹介する。

本みりんのカラメルで「味噌蔵の味」

喫茶ゾウメシ(名古屋)

「カスタードプリン」495円。高さのあるガラスの器にシンプルな盛り付け。本みりんを使ったカラメルがたっぷりかかっている。

『喫茶ゾウメシ』は、愛知県西尾市にある味噌蔵「今井醸造」の3代目当主が「もっと味噌を広めたい」と考え、2017年にオープン。3代目は移動販売から始め、2015年、地元に飲食施設『ぞうめし屋』を、2019年には京都と東京に『喫茶ゾウメシ』の姉妹店を、さらに今年は愛知県岡崎市内に持ち帰り専用店をオープンさせるなど、活発に活動している。

『喫茶ゾウメシ』では、オープン時から全卵と多めの卵黄を使った、しっかりと固めの「カスタードプリン」を提供し、今や同店を代表するメニューとなった。社員は入社後、このカスタードプリン作りから学ぶという。

水の代わりに本みりん

開店2時間前の午前8時から仕込みが始まる。本みりんを使ったカラメルを容器の底にしき、その上にプリン液を流して固めている。

しっかり固めのカスタードプリンに絡めるカラメルは、本来は砂糖と水で作るところを、水の代わりに本みりんを使っているのが味噌蔵の系列店らしい特徴だ。

「プリンにも味噌蔵の個性を強調したいと考え、水の代わりに本みりんを使う方法を考案しました。カラメルにコクが生まれます」

と、同店の稲吉真衣さん(28歳)。

この本みりんも愛知県産で、店の自慢料理「肉みそごはん」などの味噌だれにもオープン当初から使い、味噌同様に欠かせない調味料のひとつだ。

プリンには生クリームも多めに入れているため、通常メニューでは飾りにホイップクリームは添えていない。プリンとみりんを使ったカラメルのみのシンプルさが、より個性的な味が楽しめると人気だ。また高さのあるガラスの器での提供も、同店らしい演出だ。

喫茶ゾウメシ

店内はテーブル席と奥に座敷がある。「肉みそごはん」ほか味噌を使ったさまざまな食事メニューもある。

愛知県名古屋市西区菊井1-24-13  電話: 052・565・0500 営業時間:10時〜17時30分(最終注文)定休日:火曜 交通:名古屋市営地下鉄亀島駅下車、徒歩約10分

取材・文/飯島千代子 撮影/山下亮一、高嶋克郎、鈴木暁

 

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