滋賀県湖西地方に工房を構える「日ノ出窯」では、陶芸家の岩崎政雄氏が「梅花皮」と呼ばれる陶器を製作している。梅花皮とは、釉薬が窯の中で縮れてできる模様のこと。当初は偶然の産物だったが、その迫力ある姿が注目され、今では各地に窯元が存在する。
しかし、その製作は“作家泣かせ”といわれるほど難しい。釉薬の配合や窯の温度が少しでも異なると、きれいに縮れないのだ。それでも日ノ出窯が安定した縮れを出せるのは、岩崎氏が独自に調合した釉薬の力が大きい。
「本品の白い梅花皮も、じつは珍しい一品です。陶器に使う土は不純物が多く、白い釉薬を変色させてしまうのですが、土の成分に合わせて釉薬を調合し、美しい白を表現することに成功しました。縮れ目からのぞく下地の黒も楽しんでいただきたいです」(岩崎氏)
日ノ出窯の白い梅花皮は、透明度が高く艶があるのも魅力。手触りも、ぐい呑みの口当たりもなめらかだ。
「龍爪梅花皮」という名は、その縮れの力強さから龍の爪にたとえて名付けられたもの。和の趣がありながらもモダンな質感は、いつもの食卓に気品と風格を与えてくれる。
【今日の逸品】
龍爪梅花皮の酒器
日ノ出
8,140円~(消費税込み)