東京の南国といえばどこ?という質問をすれば、大半の人は「小笠原諸島」と答えるでしょう。しかし、小笠原諸島よりもはるかに近い場所にも、南国の島が存在しているのです。それが伊豆七島の最南端の島、「八丈島」です。
八丈島は東京の都心から約300キロ、太平洋の上に浮かぶ離島です。東京からは旅客機と大型客船でアクセスすることができ、旅客機であれば、羽田空港からわずか55分ほどで到着してしまうのです。
東京から離れていながらも気軽に行くことができる島では、驚くほどに南国の空気を感じ取ることができます。八丈島は沖縄方面から流れる黒潮の影響を直に受ける場所にあるため、島の海には本州では見ることができない熱帯魚やサンゴなどが生息しています。また、島の自然を見渡してみると、南国由来の植物が非常に多く、ちょっとしたジャングルのような雰囲気を感じ取ることもできる場所もあったりします。
そんな東京の南国、八丈島へ早速向かってみるとしましょう。
東京羽田空港から八丈島への飛行機は1日3便が運航されていて、始発の便に乗れば朝の9時頃には島に着くことができます。島に降り立つと、迎えてくれるのは「南国の匂い」がする島の空気。都会とは違った場所に来た事を間違いなく実感させてくれるはずです。
飛行機を降りたら、必需品ともいえるレンタカーを借りて、いざ観光へ。
まず最初に訪れたいのは、島の温泉です。八丈島で温泉というイメージが浮かばない人も多いかと思いますが、実は八丈の島自体が二つの火山から成り立っていて、島の各所で温泉が沸いている「温泉の島」なのです。
そんな数ある温泉の中で、今回ご紹介したいのは「裏見ヶ滝温泉」です。この温泉の特徴は何といっても自然を肌で実感できるところ。浴槽から島の木々や滝を眺めることができる、「天然のジャングル風呂」とも言えるロケーションになっています。
この温泉は水着着用の混浴となっていますが、更衣室は完備され、さらには専用の駐車場もあるので誰でも気兼ねなく利用できる作りになっています。このような素晴らしい温泉が、利用料無料というのも、島ならではと言えるでしょう。
島内には他にも、露天風呂から絶景を眺めることができる「みはらしの湯」や海のそばで足湯を楽しむことができる「足湯きらめき」など魅力的な温泉が複数あるので、温泉好きの人は是非訪れてみてください。
温泉を楽しんだ後は、島の美味を堪能しましょう。
八丈島周辺の海域では、南国系の魚だけでなくメダイやカンパチなど、種類豊富な魚が生息しています。そして、それらの魚を島ならでは形で楽しめるのが「島ずし」です。
島ずしはシャリにわさびではなく和からしを乗せ、しょうゆに付け込んだタイやカンパチなどの切り身を合わせてにぎるという方法で作る、島の伝統的な料理です。
口に入れれば、甘じょっぱさと独特の旨みが広がり、癖になること間違いなし。島ではランチ営業でも島ずしを提供している料理店がいくつかありますし、島のスーパーでも売っていることもあります。
島の探索のお供にスーパーの島ずしを、という贅沢な楽しみ方もアリかもしれません。
おいしいグルメを堪能した後は、いよいよ海へ繰り出しましょう。
八丈の海を肌で体感したいなら、シュノーケルやダイビングがおすすめです。
島の中心地からほど近い底土海水浴場では、テーブルサンゴや熱帯魚が生息していますし、透明度も非常に高いので、本格的な海中観察が楽しめるでしょう。
また、八丈島は魅力的な釣りのスポットとしても知られていて、一年を通して釣り人たちが訪れます。島内の釣り道具屋が充実していますし、宿泊施設でも釣り人向けの設備を完備しているような場所もありますので、自分の釣り道具を持参して島に行くような人、逆に手ぶらで島に向かう人でも、困ることはないはずです。
温泉、グルメ、マリンレジャー、釣りなど、様々な楽しみ方ができる八丈島。南国でありながら、どこか懐かしさと素朴さを感じさせる東京の島は、短い時間で非日常を体感したい人にはぴったりの島と言えるでしょう。
文・写真(クレジットないもの)/伊藤太成
全国の島を渡り歩く島旅ライター。離島の魅力を広めるべく、日々行動している。
※八丈島観光に関するお問い合わせ先
【一般社団法人 八丈島観光協会】
所在地/東京都八丈島八丈町大賀郷2345-1
電話/04996-2-1377
http://www.hachijo.gr.jp/