永遠の都・ローマ。ヨーロッパきっての観光地として名高い地だが、ほとんどの観光客はホテルに滞在し、せいぜい数日見物して他の場所に移動してしまうだけだろう。じっくり腰を落ち着けて、暮らすように旅してみたい……この夏そんな憧れを叶えたのが、元・出版社勤務の中川豊さん(66歳)。ローマの中心部に部屋を借りて1か月、ゆったり気ままに見て回り、食べて回ったローマ(とその周辺)の旅の記録を、数回にわたって紹介します。
■ローマに部屋を借りる
ローマは1ドル360円の時代から何度も訪れた場所だが、一度じっくり腰を落ち着けて「暮らしているかのような旅」をしたいと思い立った。クレオパトラはローマのどこに住んでいたのか、カラヴァッジョはどの辺りで夜毎徘徊していたのか等、知りたいことが山ほどある。またローマの「マンマの味」を知り、ローマの食材を探し、いろいろな料理を再現することも目的の一つだ。期間はとりあえず1か月とした。
旅には宿、エア(航空機)、そしてお金が必要だ。まずは宿。1か月ともなると、広さ、設備、さらに経済性を考え、ホテルよりアパートを選ぶほうがよいと考えた。インターネットで調べると、いくつものアパート管理会社が見つかった。便利な時代になったものだ。ただし家賃の支払条件、キャンセル・変更の条件などは千差万別、玉石混交で、何社かにあたる必要があった。仔細に比較検討した結果、今回は日本語サイトのある一社を選んだ(http://www.jp.halldis.com/)。
さらにフルキッチン(オーブン付き)、洗濯機、Wi-Fi環境ありを条件にアパートを探す。場所はローマの街の中心部にしようと思った。いくつかの候補の中から、食材調達のための市場が近くにあり、どこにでも歩いていける所であるということで、ナボーナ広場近くのアパートに決めた。メールで賃貸契約書を交わし、パスポートのPDFも送り、料金(賃貸料+保証金)を支払えば、手続きは完了だ。
次にエア。私は全日空が好きで、できれば成田空港ではなく羽田空港から行きたかったので、アリタリア航空の直行便ではなく、全日空ミュンヘン経由ローマ便を予約した。
最後がお金。現地でのほとんどの支払いはクレジットカード(VISA、MASTERが使いやすい)で可能だが、タクシー代、市場での支払いなどは現金が必要になる。両替は日本で済ませておくことにした。現地で両替するより、1ユーロで8~10円の違いが出てくるのだ。
■いざローマへ
いよいよローマへと出発。羽田空港の全日空ラウンジでカレーうどんをいただく。いつもの出がけのおきまりだ。当初はトッピングはかき揚げのみで、自分でルウをかけていたのだが、数年前から正式にメニューとして用意された(ちなみに日本航空に乗る際は明太子があるので、ご飯にのせていただくことにしている)
そして機内へ搭乗。今の長距離便のビジネスクラスはフル フラットなので、寝返りを打たない限り快適だ。途中の小腹抑えは中々のメニューが用意されている。一風堂のラーメン、鶴橋風月のお好み焼き、豚しゃぶ丼など、目移りしてしまうほどだ。結局、お好み焼き&ビールを選んだ。
■ローマに到着
ロングフライトの末、ローマに到着。空港から管理会社手配の車で、借りたアパートに向った。タクシー(48ユーロくらいかかる)より若干高め(55ユーロ)だが、安心感が違う。
空港に着いてすぐ連絡したにもかかわらず、
一緒に内部のチェックを行い、あわせて電気、ガス、水道のメータもチェックした上で、係員から鍵を受け取る。こうして今回の旅の拠点となる「わが家」を手に入れた。
アパートは、85平米の1ベッドルーム、2つのロフト、2つの浴室付き。天井が高く快適な空間だ。しかもバスはジャグジー付き。ただし湯船を満たす頃には、お湯から水になってしまうのが悩ましいところであった。
電話は現地の通信会社Windの代理店でプリペイド携帯を購入。ノキアの機材込みで59.90ユーロだった。これで旅の準備完了だ。
さっそく街に出てみた。ローマは旧市街がそのまま現在も機能している。城壁の直径は約5km。中心のヴェネツィア広場から、ぶらぶら小一時間も歩けば城壁にたどり着く。立ち止まって、ストリートビューのように天地左右360度見回すと、必ず何かが興味を引く。バスは混んでいることが多く、時間もまちまちだ。
地下鉄は旧市街の中心部を避けている。そりゃ掘れない事情がある。タクシーは高いし、時々不埒な運転手がいる。ローマでは、自分の足が一番便利だ。
さあ、旅の準備は整った。次回からは、ひたすら食べて歩いたローマの魅力をお伝えしていきたい。
(データは2016年7月時点のものです。)
写真・文/中川豊
1949年生まれ。メディア プロデューサー。出版社を定年退職後、現職。1971年インド
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