世界最古のプラネタリウム
このエイシンガが作ったプラネタリウムは、自宅をそのまま改装し「ロイヤル・エイセ・エイシンガ・プラネタリウム」(Koninklijk Eise Eisinga Planetarium)(http://www.planetarium-friesland.nl/en)として残されている。現存する現役プラネタリウムとしては、世界最古のものだというのが定説だ。
このプラネタリウムは1000個以上の手作りの釘と木製の歯車で構成されているが、1781年の完成から200年以上経った今も、ほぼ正確に惑星の運行を示している。
職員が定期的にメンテナンスをしているという、歯車部分がある天井裏も、来訪者が覗けるようになっている。完成までに7年かかったというのも頷ける緻密さだ。
UNESCO世界遺産の暫定リストに
当時エイシンガが住んでいたのはフリースラント州のフラネケル(Franeker)という小さな町で、お世辞にも交通の便が良いとは言えない場所だ。首都アムステルダムからは電車で2時間半ほどかかるにも関わらず、その自宅を改装した博物館兼プラネタリウム目当てに、世界中から天文ファンが訪れてくるのだという。その歴史的価値が認められ、2011年8月にはUNESCOの世界遺産の暫定リスト(https://whc.unesco.org/en/tentativelists/5629/)にも登録された。
「人々の不安を解消したい」というエイシンガの想いが、時を超えて今も我々の胸をうつ。「ロイヤル・エイセ・エイシンガ・プラネタリウム」は、天文ロマンのみならず、歴史ロマンも堪能できる稀有な場所なのだ。
「ロイヤル・エイセ・エイシンガ・プラネタリウム」
住所: Eise Eisingastraat 3
8801 KE Franeker
電話番号: +31(0)517393070
公式ホームページ http://www.planetarium-friesland.nl/en
文・写真/倉田直子 (オランダ在住ライター)
北アフリカのリビア、イギリスのスコットランドでの生活を経て、2015年よりオランダ在住。主にオランダの文化・教育・子育て事情、タイニーハウスを中心とした建築関係について執筆している。海外書き人クラブ(https://www.kaigaikakibito.com/)会員。