兼六園や金沢21世紀美術館にほど近い香林坊。町名の由来はかつて還俗し薬商を営んだ僧侶の名という。この地で2年前に開業した『香林居(こうりんきょ)』は土地の由来を踏まえつつ“新しい金沢時間を処方する”を基本理念としている。1階には精油の精製を行なう蒸溜設備があり、白山の水と杉や黒文字などの森林素材がもたらす豊かな香りが気持ちを静めてくれる。
ホテルはアーチ型の窓枠が特徴的な50年以上前のビルを改装、地下のレストランでは台湾粥の朝食、2階のラウンジではコーヒーや桂花茶(金木犀茶)などを自由に楽しめる。客室は一面の窓から大通りを見渡す部屋や、サウナ付きなど趣向も色々。城下町・金沢とは思えぬ異空間が展開する。
特筆すべきは最上階にルーフトップサウナ&バスがあり、貸し切りで楽しめること。フィンランド式のサウナでは、1階の蒸溜機で抽出した芳香蒸溜水をサウナストーンにかけて蒸気を発生させるロウリュを、好みのタイミングで行なえる。テラスの外気浴で解放感に浸れるのも趣がある。
香林居
石川県金沢市片町1-1-31
電話:076・209・7766
チェックイン16時、同アウト12時
料金:1泊朝食付きひとり1万3000円~ 18室。
交通:JR金沢駅から城下まち金沢周遊バス左回りルート約9分、香林坊下車後徒歩約2分
取材・文/関屋淳子 撮影/藤田修平
※この記事は『サライ』本誌2024年4月号より転載しました。