東海道五十三次42番目の宿場町であった桑名(三重県)は、日本有数の鋳物の街として栄えてきた。そこで生まれた「くわな鋳物」が得意とするのは、鋳肌の美しさや寸法の正確さが求められる薄物鋳造。とりわけ、鋳物の限界といわれる3~4mmの薄さに仕上げる技術を持つ工房が、斬新な本品を製造する「マルデ鋳器」である。
「自動車の部品やマンホールなど裏方に徹することが多い鋳物ですが、日用品にも応用できることに着目、約3年前に自社ブランド『いなべモノリス』を立ち上げ、デザイン性と機能性を両立させた新しい鋳物を追求しています。その自信作のひとつが、この蚊遣り器です」と、3代目の出口大介氏は語る。
桑名が有する東海道唯一の海路「七里の渡し」が描かれたご当地デザインのマンホールを、約4分の1の縮尺で忠実に再現。素材も本物と同じ鋳鉄を使い、砂で成型した鋳型に職人がひとつひとつ流し込んで作った会心の一品である。
「鋳物自体が重いため、蓋が不測の事態で開くことはありません。蚊取り線香を本品に入れれば、安心してお使いいただけます」(出口氏)
日本の夏に欠かせない蚊取り線香。安全で趣ある器で焚けば、暑い夜も風情を感じながら過ごすことができる。
【今日の逸品】
くわな鋳物 マンホール型蚊遣り器
マルデ鋳器
7,700円(消費税込み)