列島の南から花の便りが聞こえてくる頃になった。待ちわびた春の到来とともに、美しいのれんが届いた。本品を手がけた万葉舎は、京都を拠点とする手作りのれんの工房だ。手織りの麻生地に職人が筆で絵付けした製品は、多くのファンを惹きつけている。
ざっくりと織られた麻生地は工房で下塗りと染めが施され、風合いのある“キャンバス”に生まれ変わる。そこに一筆一筆、絵付け職人により月明かりに浮かぶ山桜が描かれていく。春の宵の空気を感じる絵柄であり、凜とした香りすら漂ってくる。
廊下と食卓を結ぶ入口などに掛けておくと、桜が光に透けてはっとするほど美しい。手描きののれんは、季節の光景を家に取り込む粋な仕掛けなのである。
【今日の逸品】
のれん 宵の桜
万葉舎(日本)
22,000円(消費税込み)