川連漆器の燻椀・東福寺椀

左から黒、朱
東福寺椀は、川連の古書に名が残る高台が高めのご当地椀。大きめの作りで、お雑煮や具沢山のみそ汁にも。

秋田県川連。そこは山と山に挟まれた、半径2kmの小さな町だ。この地で木地作り、下地から塗り、沈金や蒔絵と、そのすべての工程を完結させるのが、名高い川連漆器である。

主に奥羽山脈の原木から木地を挽き、煮沸して木渋を取り除いたあと、廃材を利用した循環方式により1か月間、燻煙しながら乾燥させる。「いぶりがっこ」のように、秋田はなんでも燻す土地と言われるが、ゆっくり燻しながら木地を乾燥させることで木質を強くし、防腐や防虫などの効果もあるという。こうしてできた「燻椀」は、軽くて丈夫、断熱性と保温性に優れ、実用性に富んだ器になる。
「漆器を使うことは、お椀を育てると言い、日々使うことで漆は艶が出てより丈夫な器となります。使用後はすぐ洗い、乾いたやわらかい布で水気をとる。しまいこまずに毎日使っていただきたいふだん使いのお椀です」とは秋田県漆器工業協同組合の佐藤善六氏。

味噌汁や雑煮を注ぐ汁椀として、またご飯をよそう飯椀として、長きにわたり使うことで美しさを増していく川連の燻椀。そんな、使われて喜ぶお椀たちとの毎日を楽しんでほしい。

川連漆器の燻椀・東福寺椀

原木から荒挽きしたものを燻煙で乾燥させて木地に仕上げ、しっかりとした下地を施し、漆を塗っては研ぐ工程を繰り返す。そして最後は「花塗」で仕上げる。仕上げに研ぐことはせず、平滑に漆を塗るという高度な技術を要する。

【今日の逸品】
川連漆器の燻椀・東福寺椀

秋田県漆器工業協同組合
7,020円(消費税8%込み)

 

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