熟練の宮大工ならではの高度な工法で作った神棚
神社の最奥にある本殿の扉が開くとき、「ギギギィ」と木の軋む音が響く。この音には、低頭する参拝者に神様と向き合っていることを知らせる役割があるという。
神社建築において「ギリ戸」と呼ばれるこの工法を、家庭用神棚に再現したのが本品(音が鳴るのは置き型のみ)。発案したのは、祖父の代から神仏具を作る木地師の家に生まれた、木工房「ウッドペッカー」の福井賢治さん。木製日用品を手がける中で、いつか現代に調和する神棚を作りたいと考えていた。
「実現に至ったきっかけは、“神様に祈る文化を残したい”という志を同じくする手工業デザイナー大治将典さんとの出会い。旧知の仲である宮大工・小保田庸平さんにも声をかけアイデアを持ち寄ったことで、現代的かつ本格的な神棚が生まれました」(福井さん)
作り手は、小保田さん率いる唐箕屋本店の職人たち。ギリ戸は扉の上下に設けたホゾという角柱の突起が、土台の丸いホゾ穴の中でこすれて音が鳴る。ホゾが角張りすぎても穴に入らず、なめらかすぎても音が鳴らない。熟練の宮大工ならではの高度な工法である。
樹齢100年以上の木曽ひのきを使用し、白木仕上げが神聖な雰囲気を醸す。姿を消しつつある神棚だが、本品なら住環境に調和させながらお札を祀ることができる。
【今日の逸品】
神棚「GIRIDO」
ウッドペッカー
33,000円~(消費税込み)