「武州」(現・埼玉県)の藍染めは、江戸時代後期から技術が伝えられ、明治時代には地域の一大産業に発展した。日本資本主義の父・渋沢栄一の生家(埼玉県深谷市)も藍の栽培を行ない、染料の藍玉製造と販売を手がけていたという。
その藍染めは「武州正藍染」と冠されて今も継承される。本品も、県北部の羽生市で明治5(1872)年から伝統技術を守り続ける染物工場のブランド「小島屋ファブリック」が手がける。
生地は「青縞」と呼ばれる縞模様が特徴で、ほかの藍染めと一線を画す。藍染織物には糸を染めて織る手法と、織った生地を染める手法があるが、こちらは前者。糸に藍をたっぷり染み込ませる「綛染め」で、束状にした糸(綛)を染料に浸して絞り、糸をほぐして干す作業を何十回も繰り返す。糸にできる特有のムラや風合いは、熟練の職人が手がけた証しである。
「草木染めの中でも、藍染めは色落ちの仕方に味があり、経年変化も魅力のひとつです。また、生地を長持ちさせるともいわれています」と、社長の小島秀之氏。
藍染め生地を帽子に仕立てたのは、東京の帽子ブランド「オリハラスタイル」。つばの長さや深さが程よく、かぶりやすいと評判だ。
【今日の逸品】
武州正藍染のキャップとハンチング
小島屋×オリハラスタイル
7,150円~(消費税込み)