ロンドン ナショナル・ギャラリーとは何か?
「『西洋絵画の教科書』と呼ばれるほどに充実したコレクションを誇る美術館です」
イギリスの首都ロンドンの中心部、トラファルガー広場に面した一等地にロンドン ナショナル・ギャラリー(※正式名称はThe National Gallery, London 以下、ナショナル・ギャラリーも同義。)は立っています。
私がこの美術館を初めて訪れたのは、1965年、まだ12歳の頃でした。当時、私たち家族は、フランス文学者だった父に伴って、1年間ほどパリに滞在していました。父の休暇を利用して、ロンドンへも旅することになったのです。
レンブラント、ベラスケス、ターナー、モネ、スーラ……。ナショナル・ギャラリーで見た絵画は、どれも印象深く、いつまでも記憶に残りました。私はすでにパリでルーヴル美術館に毎週のように通っていましたが、ナショナル・ギャラリーでも、西洋美術への興味を強くかきたてられました。
長じて美術史の専門家になってみますと、ナショナル・ギャラリーのコレクションの充実ぶりに、改めて感服しました。2300点強という収蔵品の数は、ヨーロッパの美術館としては多くはありませんが、極めて高いレベルの作品が集まっています。13世紀から20世紀初頭まで、ヨーロッパの絵画史に大きな足跡を残した画家を網羅し、それぞれの代表作を揃えています。それゆえ「西洋絵画の教科書」と呼ばれているほどです。
この特徴は、1824年の開館時から、「市民による、市民のための美術館」を目指していたことと関係しているでしょう。ヨーロッパの美術館の大半は、王室や貴族のコレクションを一般に公開する形で始まっています。ルーヴル美術館やスペインのプラド美術館なども、しかりです。そのため第一級の作品が集まる一方で、王家や貴族の趣味が直接反映され、どうしてもコレクションに偏りが生じてしまうのです。
その点、ナショナル・ギャラリーは開館まもない頃から、「ヨーロッパ絵画を体系的に集める」という姿勢を鮮明にしていました。
世界の文化に影響を与える
「市民に開かれた」という意味では、開館以来、入館料を無料で通しているのも大きな特色です。私も最初に行った時は驚きました。文化先進国のフランスでさえ、ルーヴル美術館が無料になるのは週に一度だけでしたから。
気軽に入館できるので、19世紀当時、パリと並んで世界を牽引していた大都市ロンドンに来た人々は、こぞってこの美術館に立ち寄ったことでしょう。明治時代にイギリスに留学した夏目漱石は、ターナーなどの絵画を多数実見し、その体験を小説『坊っちゃん』に生かしました。またロンドンに滞在したモネなど、印象派の画家たちも訪れたはずです。こう考えると、ナショナル・ギャラリーが世界の文化に与えた影響は多大なものがあるでしょう。
西洋絵画の歴史が学べる、質の高い所蔵品の数々と、体系的な展示構成が魅力
ルネサンス期以来ヨーロッパでは、絵画はただの鑑賞物ではなく、政治、経済、宗教、哲学、詩など、人間の文化的活動のすべてを反映する高度な芸術と見なされました。実際、絵画はあらゆる題材を取り上げました。その意味では、選び抜かれた名画に出会えるロンドンナショナル・ギャラリーは、人間について深く学べる「人生の教科書」とも呼べるでしょう。
小学館『大人の逸品』×『サライ』Presents
ロンドン ナショナル・ギャラリー公認ショップがオープンします
世界屈指の美術館「ロンドン ナショナル・ギャラリー」。同館所蔵の名画を用いてデザインした、多彩な通販商品を展示販売する期間限定ショップを『ジェイアール名古屋タカシマヤ』に開設します。
商品は、ゴッホ『ひまわり』をはじめ10作品の高精細な複製画や、トートバッグ、タオル、Tシャツ、マグカップなど。いずれも小学館の通販メディア『大人の逸品』が企画開発し、「ロンドン ナショナル・ギャラリー」の監修を受けて製作した同館公認のオリジナル商品です。本イベントが初披露となるアイテムも取り揃えておりますので、ぜひご来店ください。
『サライ』本誌2021年9月号の別冊付録「ロンドン ナショナル・ギャラリーの名画と暮らす」に掲載されている通販商品を手に取ってご覧になれる、またとない機会です。ぜひ足を運んでみてはいかがですか?
ロンドン ナショナル・ギャラリー公認期間限定ショップのご案内
●期間/2021年8月11日(水)~8月24日(火)
●会場/ジェイアール名古屋タカシマヤ 7階 ローズパティオ 愛知県名古屋市中村区名駅1丁目1-4(JR名古屋駅直結) 電話:052・566・1101 営業時間:10時~20時(8月19日のみ18時閉場) 休館日:期間中、無休(入場無料)
※営業時間等、予告なく変更になる場合があります。
【特典】