■雨(推定1歳、メス)
1年ほど前のことです。9月の半ば23時過ぎから急にどしゃ降りの雨が降り始めました。私と、高校生の娘は布団に入り、うとうととし始めた頃でした。
雨の音に紛れて、どこからともなく子猫の鳴き声が聞こえてきました。悲鳴にも似た切ない鳴き声から、その必死な様子が伝わってきました。先住猫のオス2匹もその悲痛な鳴き声に反応。落ち着かなくなってきました。すると、2階の部屋にいた娘が、「子猫が助けてって鳴いているみたい。助けなきゃ!」といって、1階に降りてきました。
外はまだ強い雨が降っていて、しかも日付が変わる夜中です。子猫の鳴き声が、時々途切れたりするのが心配になり、いてもたってもいられなくなった娘はカッパを着て、私は傘をさして、懐中電灯を持って住んでいるアパートの裏と表にそれぞれ回って鳴き声を頼りに子猫を探し始めました。保護する時に子猫を安心させられるように、タオルを持って。
30分くらい探したでしょうか。もう諦めようと娘に声をかけようとした時、「いた!隣の家の室外機の下!」と娘が叫びました。
娘がタオルでくるんできた子猫は、とても小さくてガリガリで、泥だらけでした。家に連れ帰って洗面器にお湯を溜めて泥を洗い落とし、しっかりと拭いて暖めたところ、子猫は安心したように眠り始めました。雨の中で必死に助けを求めていたことにちなみ、「雨(アメ)」と名付けました。
(ツイッターアカウント名:kaokos@kaokos1)
文/平松温子
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