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取材・文/柿川鮎子
リードが外れた!いざという時のために今しておくこと
毎日ペットが使っているリードやキャリーケースなどには、国が定める安全性に関する基準はありません。業界団体で定めた自主基準のもとに製造されています。

首輪とリードをつなげるナスカンと呼ばれる部分が外れて犬が逃げ、追いかけたところ転倒してケガをしたという事件が発生しました。国民生活センターがこのナスカンに関する調査を行いました。

調査を行ったのはナスカンと持ち手部のある平ひもからなる小型犬用のリードで、首輪のDカンにリードのナスカンを取り付けて使用するものです。ほとんどの犬の飼い主さんはこの仕組みのリードを使っています。

ナスカン

国民生活センターの調査では、参考品3銘柄について、犬の首ふり等の動きを模して首輪を動かした再現テストを実施しました。いずれもナスカンがDカンから外れる現象が確認できたということです。

犬の動作の影響で、首輪のバックルや平ひもでナスカンのレバーが押され、ナスカンが開いた状態となりDカンから外れてしまいました。取扱説明書には、“犬の体型や動作など、様々な諸条件によりナスカンが外れる場合がありますので、飼い主の責任において十分な安全管理を行ってください”という注意表示が入っていました。

国民生活センターでは「リード使用時にはナスカンが外れる場合があることを認識し、犬から目を離さないようにするなど十分な安全管理を行いましょう」と呼び掛けています。

■意外と多いリードのトラブル

こうしたリードが外れる事故について、ひびき動物病院の院長岡田響先生に実態を聞いてみました。

岡田先生によると、「屋外でつないでいるあいだにリードがちぎれたり、金属が割れたりしてワンちゃんが逃げ出したという話は聞いたことがあります。しかし、最近は室内飼育の子も多いので、リードのトラブルに関しての相談は、あまり受けたことがありません。しかしながら首輪が緩くて外れそうな子にはよく出会いますので、お預かりの子の場合は、外れないようにチェックしています。

普段のリードの長さにワンちゃんも慣れていますから、病院ではお預かりの子の場合、いつものリードを一緒に使うことも多いのです。お預かりの時に壊れかけているのを見つけることもたまにあります。

こういう時は壊れているリードは使えないので、病院のリードを使うことになります。ワンちゃんにとってはいつものリードの長さではなく、普段通りのお散歩ペースにできないために、ちょっとぎこちない動きになっているときがあります」とのことでした。

リードによっては、ナスカンのレバーが押されないようにロックする機能を備えた商品もあるそうです。こうした安全性の高い商品を購入することも大切だと岡田先生は言います。

「普通のナスカンを使った犬のリードは、はずれるかもしれないから、監視しながら使わないといけないよ、というのが国民生活センターの意見です。確かに、当院でお散歩に行く子は必ず2重リードにしています。

いざという時に備えて、ご家庭でも首輪とリードの安全性について、もう一度チェックしてほしいですね。古くなったり壊れかけは事故になるまえに取り替えてほしいです」とアドバイスしてくれました。

■いざという時に身を助ける「しつけ」

では散歩中にいきなりリードが首輪から外れてしまったらどうすればよいのでしょう?
岡田先生に質問すると、ちょっと困った顔をされてしまいました。

「前提として、まずは絶対にそうならないようにしないといけません。なぜなら、法律上、それは犬の飼い主の責任となっているからです。もしもリードから離れた犬が原因で何かしらのトラブルになってしまった場合、100%の責任が飼い主に降りかかってくる可能性が非常に高いのです。

先日、犬が自転車に轢かれた事故がありました。こうした事故で、犬がリードにつながれていない場合は、どんなに相手が悪くても飼い主さんの責任になり、逆に自転車側の保証をしないといけない立場になります。

リード外しの散歩はトラブルのもと

リード外しの散歩はトラブルのもと

万が一犬が離れてしまった場合、まずは慌てず追い回すようなことにはならない方法を考えましょう。そのためには、普段から、止まれの合図でその場にとどまっていられる、呼べばこちらに来るなど、制止・受動の訓練やしつけをしておきましょう。

制止ができるような訓練は災害対策で必要な訓練にもつながります。あまりうまくできない子は一度動物病院にも相談してください。さらに、万が一の安全対策として迷子対策を考えるならば、マイクロチップも必要です。こちらも動物病院に相談してもらうといいです」と教えてくれました。

■ナスカン以外にも意外と多いペット用品の事故

国民生活センターでは、今回のナスカンの調査の他にも、ロープ又はナスカンが破断するまでの最大荷重に関する調査も行っていました。それによると、銘柄間で強度には差があり、犬の適用体重が同じものでも破断するまでの最大荷重にはばらつきがあったという結果が出ています。「取扱説明書等に記載されている強度に関連する表示内容は銘柄間で違いがあり、ほつれなどがあった場合には使用を中止する旨が表示されていない銘柄もあった」と調査記録がサイトに掲載されています。

リードに関しては巻き取り式の犬用リードを使用していたところ、リードが足に巻きつき、ふくらはぎに擦過傷を負ったという事故例も紹介されています。勢いよくリードが動くために、うっかり触るとケガをする場合が多いようです。

岡田先生も「伸縮可能なリードは、ロックが壊れて制動が効かなくなり、ワンちゃんを止められずトラブルになった例があります。長く伸ばした先で犬同士がケンカをしてしまったり、制御できなくなったりするなど、伸縮可能リードについては、ナスカンとは別の注意点も必要です」と教えてくれました。

リード以外のペット用品では、犬猫用キャリーバッグを持ち歩いたところ取っ手が外れ、犬が入った本体が落下したという事例も国民生活センターの調査事例として紹介されています。取っ手の部分の差し込み部の強度が、表示されている重量での使用に耐えられず、下方に変形して、本体から外れて落ちてしまいました。

キャリーバッグごと犬が落ちてしまう事故は絶対に避けたいものです。ぜひご家庭でも今使っているバッグの手持ちの部分が変形していないか。経年劣化で切れる危険性が無いかを、この機会に確かめてみてはいかがでしょうか。

「残念ながら、ペット用品には国の安全基準のようなものがなく、事業者団体で定めた自主基準に基づいて製造された安全性の高い商品であっても、使い方や、経年劣化により、事故が起きることもあります。大切なわが子のために、普段から、いざという時にも対応可能な自覚をもった行動が必要です」と言う岡田先生の言葉が胸に迫ります。できるだけこまめにチェックして、ペットの安全は飼い主が守るという意識をもって、ペット用品と上手に付き合いたいと思います。

岡田響さん(ひびき動物病院院長)取材協力/岡田響さん(ひびき動物病院院長)
神奈川県横浜市磯子区洋光台6丁目2−17 南洋光ビル1F
電話:045-832-0390
http://www.hibiki-ah.com/

 

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

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