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【娘のきもち】「手のかからない良い子」を演じ続けた代償。今も両親に本音はぶつけられない~その2~

取材・文/ふじのあやこ

家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ)

今回お話を伺ったのは、都内にある旅行等を扱う代理店で事務員として働いている樹さん(仮名・39歳)。神奈川県出身で、両親と3歳下に妹のいる4人家族。樹さんよりも妹を構う母親から「良い子だから、妹ほど手がかからなくて助かっている」と言われた影響もあり、我慢してまで良い子を演じてしまいます。

「父親とのドライブを連れて行ってもらっていたのは私だけ。でもそれも妹は車酔いが酷かったから。父親とのドライブは楽しい思い出ばかりだったのに、母親の妹ばかりを構う姿を見て、父親ももしかしたらしょうがなく私を連れて行っていただけで、妹のほうが好きなのかなって疑うようになりました。両親に妹よりも好かれたい。そんな気持ちから、良い子をずっと演じてきたような気がします」

いじめられていることを親に言えない。だって良い子だから

樹さんは学校の成績もまずまず。しかし、中学時代にクラスメイトとケンカをしたことがきっかけでいじめを経験したと言います。

「勉強は中の上、調子が良かったら上の下ぐらいでしょうか。勉強はそこまで苦手意識もなくて、数学や化学など式を覚えるだけのものは得意でしたね。クラスでトップをとったことも何回かありました。

いじめられたのは中学2年生のとき。クラスメイトの女の子と覚えていないほど些細なことでケンカしたことがきっかけだったんですが、その後友人たちが全員その子のほうに付いて、一人ぼっちになりました。いじめは無視とか、一人になることが多いぐらいで、何かを隠されたり、呼び出されたりとかはなかったので、ひたすら孤独に耐えた感じです。学校を休んだことは一度もないし、三者面談などで私が一人なことを親にバラされたくない思いから、休み時間の度に教室から離れた遠くのトイレに行って、ずっと籠っていました。だから親はまったく知りません。担任の先生から何かを言われたこともありませんでした。そのいじめっ子たちよりも私のほうが勉強ができたので、卑屈にならなくてすんだのかもしれません」

高校を卒業後は実家から都内の大学へ進学。そして就職後も実家から通い続けたそう。その頃の家族関係も以前通り良好だったとか。

「大人になって、家族でどこかに行く機会はなくなりましたが、妹も大学は実家から通っていて、近所からは『仲良し家族』とよく言われていましたね。振り返ってみると一回も大きな揉め事はなかったんです。母親から怒られることはあったけど、覚えているものはあまりなく、父親からは一度も怒られたことさえありません。私も反抗した記憶は残っていません。本当に手のかからない子だったと思います」

【次ページに続きます】

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