【ビジネスの極意】「万学の祖」アリストテレスの相手を納得させる5つの話し方

古代ギリシアの哲学者、アリストテレス。その教えには現代のビジネスマンの参考になることも多くある。リーダーシップとマネジメントに悩む、マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研」から、哲学者アリストテレスの教えを学ぼう。

* * *

アリストテレスに学ぶ相手を説得する5つの話し方

あなたの周りにも、会議や交渉の場など、あらゆる場面で自分の意見を通すことに長けている人がいるかと思います。
そのような人はなぜ自分の意見を通すのが上手なのでしょうか。
実は、同じ説明文でも言い回しを変えるだけで、説得力が5倍、10倍と増えていくのです。
本文では、アリストテレスの弁証論を参考に、相手を納得させる話し方について解説します。

アリストテレスの説得の3原則とは?

アリストテレスは、相手を納得させるためには3つの要素が必要と述べています。
その3つの要素というのが、エトス、パトス、ロゴスです。
まずは、この3つの要素の解説をしていきます。

エトス(話し手の人柄)

人を納得させるために大事なのは、論理そのもの以上に発言している人間の人柄が重要になってきます。
「怖い部長も、なぜかAさんにだけは怒らない」といった場面は、あらゆるところで見られるかと思います。
またSNSなどを見ると非常にわかりやすいのですが、同じ内容を発信していても、拡散される人と拡散されない人がいます。
これらが話し手の人柄によって生まれている説得力というものです。

パトス(聞き手の感情)

同じ説明文でも、聞き手のその時の感情次第で返事は大きく変わります。
相手の感情と言われると、自分ではどうしようもないように感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
パトスを理解している人は、怖い上司に報告をする際は、その上司の機嫌がいい時間帯に伺いますし、相手に何かお願いをしたいときは、相手に食事をご馳走することで、相手の気分を良くしてからお願いをするといったことをします。
また取引先に電話する際に、先方が忙しくないであろう時間を狙って電話をすることも1つの方法としてあげられます。
相手の気分がいい時、落ち着いている時に交渉を持ちかけるというのは、自分が有利に話を進めるためには大事な要素となります。

ロゴス(言論の論理)

3つ目が論理です。
主張に論理がなければ「なんで、それが必要なの?」「いや、それは無理でしょ」などと、断られるだけではなく、相手にも何かしら望むものがあった場合に、相手のいいなりになってしまいます。
説得力が増す論理的な話し方については、次の章で解説します。

相手を納得させる5つの話し方

相手を納得させる話し方について解説していきます。
交渉の場、会議などで使ってみてください。

定義をしてから説得する

まずは、自分の主張だけをするのではなく、定義をしてからその定義に沿って主張するという方法です。
例えば「年金が8万円では生活できない」という主張をしたい場合、単に「年金が8万円では生活できない」だけでは、いまいち説得力に欠けてしまいます。
そこで「この近辺は家賃だけでも4万円かかります。そのため年金が8万円だけでは生活できません」と説明した場合はどうでしょうか。
住んでいるエリアの家賃相場を定義とすることで、生活費が足りないという主張に説得力が生まれました。

比較対象を出して説得する

次に比較対象を出すことで説得力を強化させる方法です。
あなたが「この作業を3日以内にするなんて不可能だ」という主張をしたかったとします。
ただ、「この作業を3日以内にするなんて不可能だ」だけだと、「やってみないとわからないだろ」「わがままを言うな」と言われる可能性が出てきてしまいます。
このような場合は「この作業は前回3人がかりでも1週間かかったんです。なので、この作業を3日以内にするなんて不可能です」と説明します。
そうすると、この作業がどれほど大変なのかがわかる比較対象があるため、相手に「確かに」と思わせることができます。

反対の立場の話を述べてから説得する

次に自分と反対の立場の人の話をすることで、説得力を強化させる方法です。
もしあなたが新商品のアイデアを出したとします。
その時に自分のアイデアだけでは「本当にこれが必要か?」という説得まで至らない場合、「他社は、まだこのシステムを導入していません。そのため、このシステム導入により他社より時間短縮が可能になれば、生産性において差をつけることが可能になります。」といった説明ができるようになります。
このように、他者と比較することで、有利になれるんだという主張をすることでも説得力というものは生まれます。

他人の権威性を借りて説得する

次に、他人の権威性を借りて説得する方法です。
この方法は権威のある人だけではなく、組織のルールなども利用でき、前例を重んじる会社ほど、この説得術は使われています。
「会社の忘年会は全員参加だ。これは会社設立からずっと決まっているルールだ」
このような会話は、あなたもどこかで聞いたことがあるかと思います。
論理で説得できない時に、より力を持っている者が言っている。ということで相手を説得します。
他にも、新しく異動してきた上司のやり方に納得がいかない場合、「前の上司はそれをしてはいけないと言ってました」といった主張方法もあります。
もちろんここで、論理的な理由も必要になってきます。
ただ、自分の意見としては言い出しにくい相手の場合、他の人の権威性を借りることで話を切り出しやすくなります。

憶測を理由に説得する

最後は、ある人の言動に対して、周りの人も納得できるような動機を憶測でいう方法です。
あまりフェアな方法ではないのですが、様々な条件が集まることで説得力が増してしまう方法になります。
これは、あなた自身が使うか使わないかはさておき、人を陥れようとしている人がよく使う手法なので、この手法の存在を知っておくことで自分の身を守ることができます。
どのような手法なのかというと、例えば部長が新人のAさんに注意していたとします。
その時に部長対して良い印象を持っていなかった部下が、部長のいない場で「部長、新人のAさんを叱っていたけど、そもそも部長は『新人』が嫌いなんですよね」と言った場合どうなるでしょうか。
部長は決して新人嫌いではなかったとしても、何も知らない第三者からすると「そうなんだ」と思われてしまう可能性が高くなります。
さらに、前日に別の新人を叱っていたというエピソードがつくと、その憶測はさらに信憑性が増してしまいます。
そして事実ではない憶測の話が、事実のように噂で回ってしまうのです。
これは部長を直接説得する方法ではなく、周りの人を納得させる時に使う方法なのですが、倫理的に正しい説得の方法とはいえません。
ただ噂が回る原理を知っておくことで、職場に流れている噂に惑わされることがなくなりますし、仮に自分自身が変な噂を流された時に、憶測による説得の技術の話をすることで、これは憶測によって広められた噂なのだという説得ができます。

まとめ

会議や交渉など、自分を有利に話を進めたい場合は、アリストテレスの3原則を意識し、その上で相手が納得する説明をしていきましょう。

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いかがだっただろうか。アリストテレスの説得の3原則を意識し、ビジネスシーンに充分活用していただきたい。

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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