取材・文/池田充枝
19世紀末から20世紀初頭にかけてパリで活躍し、アール・ヌーヴォーの旗手として名を成したアルフォンス・ミュシャ(1860-1939)。
ポスターなどグラフィック作品を数多く手がけ、広告界のパイオニア的存在と称されるミュシャは、「線の魔術」ともいえる繊細で華やかな作品で人々を魅了しました。ミュシャ様式と呼ばれるそのスタイルは、明治の文芸誌や1960-70年代の英米を席巻したグラフィック・アート、現代日本のマンガまで、多大な影響を与えています。
没後80年、今もアート界に影響を与え続けているミュシャの秘密をひもとく展覧会が開かれています。(9月29日まで)
本展は、ミュシャ財団監修のもと、ミュシャが手がけたポスターなどの代表作に加え、ミュシャの影響が見られる様々な作品など、約250点でその流れを辿ります。
本展の見どころを、主催者にうかがいました。
「本展では、繊細で華やかなポスター群に加えて、初来日となるカリカチュア(風刺画)を含む、ミュシャ初期の貴重なイラストや、彼自身の収集品など、充実したラインナップでミュシャの世界をお届けします。
今回のミュシャ展の目玉となるのが、その影響を受けた日本の文芸誌やマンガ、イラストなどの展示です。与謝野晶子の歌集『みだれ髪』は、フランス、イタリアで学んだ洋画家、藤島武二が表紙デザインをしたもので、アール・ヌーヴォーの影響が色濃く見てとれます。また、現代日本のマンガ家、水野英子、山岸凉子、松苗あけみ、天野喜孝らがミュシャのファンタジーの世界に触発されて描いた作品の数々も紹介します。
そして、ミュシャの影響が音楽シーンにまで及んでいたことを示す、1960-70年代のアメリカ西海岸やロンドンのレコード・ジャケット群を含むグラフィック・アート作品も必見です。」
マンガ家たちを魅了したミュシャの流麗な線、会場で間近にご堪能ください。
【開催要項】
みんなのミュシャ ミュシャからマンガへ――線の魔術
2019年7月13日(土)~9月29日(日)
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1 地下1階
電話番号:03・5777・8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:www.ntv.co.jp/mucha2019/
開館時間:10時から18時まで、金・土曜日は21時まで(入館は各閉館30分前まで)
休館日:7月30日(火)、9月10日(火)
巡回:京都文化博物館、札幌芸術の森美術館、名古屋市美術館、静岡県立美術館(予定)、松本市美術館
取材・文/池田充枝