住まいを確保・ 再建する支援制度【被災したときに役立つ生活再建のための知識】

■被害程度に応じて支給される被災者生活再建支援制度

被災者生活再建支援制度は、自然災害によって居住する住宅が全壊するなど、生活基盤に著しい被害を受けた世帯に対して被災者生活再建支援金を支給し、生活の再建を支援するものです。下記の2つの支援金の合計額が支給額となります。
被害程度に応じて支給される被災者生活再建支援制度(C)2019 NPO法人 日本FP協会

なお、本支援制度を受けるには、実際に居住していたことが要件となりますので、空き家、別荘、他人に貸している物件などは対象になりません。

■被災住宅の応急修理制度

大規模半壊または半壊の被害を受けた住宅のうち、居室、台所、トイレ等日常生活に必要な最小限の部分について応急的な修理を行えば居住することが可能な場合に利用できるのが、災害救助法に基づく「住宅の応急修理制度」です。

り災証明書や応急修理見積書など所定の書類を自治体窓口に提出して手続きを行うと、かかった費用を自治体が直接業者へ支払ってくれます(一世帯あたり限度額58.4万円/2018年度基準)。

自治体によっては、限度額に上乗せを行ったり、借家やマンションの共用部分への適用が可能なケースもあります。

■家財の損害等に応じた貸付制度の災害援護資金

被災により負傷または住居・家財の損害を受けた場合は、災害援護資金の貸付けを受けられます。本制度は、都道府県内で災害救助法が適用された市区町村が1以上ある災害が対象です。活用できるのは、(1)世帯主が災害により負傷し、その療養に要する期間が概ね1カ月以上、(2)家財の1/3以上被害に遭っている、(3)住居が半壊または全壊、流出した、のいずれかの被害を受けた世帯の世帯主で、世帯人数によって所得制限があります。

家財の損害等に応じた貸付制度の災害援護資金(C)2019 NPO法人 日本FP協会

■住宅を復旧するために受けられる災害復興住宅融資

災害復興住宅融資とは、自然現象による災害、または住宅金融支援機構が個別に指定する災害により被害を受けた住宅の所有者が、自分が居住するための住宅を復旧するための資金の借入れができる制度です。

融資対象となる住宅は、住宅金融支援機構の定める基準を満たす必要があり、原則として一戸あたりの住宅部分の床面積が13㎡以上175㎡以下(購入の場合は、50㎡(マンションの場合は30㎡)以上175㎡以下)の住宅等である必要があります。 住宅を復旧するために受けられる災害復興住宅融資                (C)2019 NPO法人 日本FP協会

■被災時の住宅口ーンの返済負担の軽減

被災して住宅が全壊・半壊の損害を受け住み続けることができなくなったとしても、住宅ローンの返済負担は残り続けてしまいます。このような負担に苦しむ被災者向けに軽減措置があります。

東日本大震災後には、一部の金融機関において、2011年3月11日時点で住宅ローン(有担保)を利用中の被災者で震災により住宅が半壊・全壊となった人などを対象に、ローン金利の負担軽減措置や、利用中の住宅ローンの年度末残高の一定割合額を一定期間返還する支援などの様々な対応が行われています。住宅ローンに関する各種軽減措置については、借入先の金融機関に問い合わせて確認しておきましょう。

住宅金融支援機構から住宅ローンの借入れをしている人で、一定の災害により被害を受けた人に対する各種軽減措置は、下記のとおりです。

被災時の住宅口ーンの返済負担の軽減(C)2019 NPO法人 日本FP協会

■親子リレー返済の検討

被災後の生活再建のため、新たに住宅を建築する必要があるものの、高齢のため、住宅ローンが組めないといった悩みを抱えるケースでは、住宅金融支援機構「フラット35」の「親子リレー返済」を検討してみましょう。

親子リレー返済とは、申込者本人の子・孫などで定期的な収入があるなどの一定の要件にあてはまる人を後継者と指定した場合に、満70歳以上の人(本人)でも住宅ローンの申込みが可能となる制度です。

親子リレー返済の検討(C)2019 NPO法人 日本FP協会

■実家の住宅補修や建築に利用できる「親孝行口ーン」

住宅金融支援機構では、被災した住宅に居住している親(満60歳以上の父母・祖父母など)が住むための住宅を建設、購入または補修する場合に、優遇金利で借入ができる「親孝行ローン」を取り扱っています。本人の年収に占めるすべての借入れの年間合計返済額の割合が一定基準を満たす人(年収400万円米満で総返済負担率30%以下、年収400万円以上で35%以下など)を対象にしています。

実家の住宅補修や建築に利用できる「親孝行口ーン」(C)2019 NPO法人 日本FP協会

災害復興公営住宅ほか被災者向け住宅供給支援制度

阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大災害時には、県や市区町村が、被災者向けに比較的低廉な家賃で入居できる災害復興公営住宅を建設し提供しています。また、被災地以外の市区町村や住宅供給公社でも、住まいをなくされた人などを対象に、公営住宅や特定優艮賃貸住宅を提供しています。被災後の住宅再建には多額の費用がかかるため、これらの住宅支援制度を活用して、住まいを確保することが可能な場合もあります。保有だけにこだわらず、家族構成やライフプランに応じて、このような制度や賃貸住宅も選択肢としてみましょう。

※本記事はNPO法人 日本FP協会発行のハンドブック「災害に備える くらしとお金の安心ブック」から転載したものです。

協力:NPO法人 日本FP協会 https://www.jafp.or.jp/

 

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