文/鈴木珠美
近ごろ問題となっている「あおり運転」。運転していると誰もが1度は経験したことがあるのではないでしょうか。
私も何度か経験がありますが、もっとも怖かったあおり運転は、2車線の道路で道を譲ることができない場面で、車間距離を詰められたとき。ルームミラーには右に左に蛇行運転をしながら後ろの車があおっている姿が映り、体が震えたことを思い出します。クラクションを鳴らされ、最終的に後ろの車は反対車線に飛び出し、私の車を追い抜いていきました。ここまでひどいのは後にも先も無いことでしたが、酔っ払いの運転としか思えないひどいドライバーです。
車間距離を詰めることも、
蛇行運転をすることも、
不必要なクラクションやパッシングなど、
すべては道路交通違反にあたる危険な運転行為です。
よく見かける交通違反とマナー違反
「あおり運転」は、当然やってはいけない行為だと認知されていますが、私たち自身の運転を改めて振り返ってみると、実は交通違反だった、周囲に迷惑をかけていたということもあります。
例えば信号のない横断歩道。歩行者が渡ろうとしているときは歩行者優先が当たり前なのに、停車せずに通過する車。中には加速する車もいます。信号のない横断歩道で歩行者がいたら一時停止し歩行者を優先するか、横断歩道の手前では車を停止できる速度まで落として通過することが道路交通法でも定められています。
方向指示器、ウインカーを出すのが遅い車や、中にはウインカーを出さずに進路変更をする車も見かけます。合図を出さずに進路の変更をしたらこれも違反です。また黄色の車両通行帯を無視して進路変更する車も見かけますがこれも当然アウト。道に慣れていなくて進路変更するのが遅れてしまい、慌てて進路変更したのかもしれませんが、黄色の車両通行帯での進路変更は当然違反。周囲の車に迷惑をかけることになりますしとても危険です。
交通違反と同じく、ドライバーのマナー違反も気になります。
以前、駐車場で隣の車のオーナーが、ドアを開けるときにがばっと大胆に開けたため、私の車にドンとドアが当たりました。当てたにも関わらず、その車のオーナーは、バツが悪かったのか車を降りると何も言わず足早に立ち去ってしまいました。一部始終を見ていたもののあっけにとられた私は何も言えず終い。ドアは目に見える傷はついていなかったけど、怒りがじわじわとこみ上げてきました。ひとこと、言えない私も私ですが、ひとこと、謝罪できない相手も相手ですよね。
つい先日も、ぎりぎり2台が行き交うことができる狭い道で困ったことがありました。対向車はまったく道を譲る気持ちがなく、道路上で互いににらめっこ状態。対向車が少し右に寄ってくれれば通過できるのに、道の真ん中から車を動かさないためすれ違うことができなかったのです。幅寄せが苦手なドライバーなのだろう……と諦めてバックで走行し、広い道まで戻ってから対向車を優先。でも対向車は挨拶もせずに行ってしまったので、心はもやもや、イライラ。こうやってイライラしたり、相手からのお礼を催促してしまうのも、心にゆとりが無いドライバーですよね。
周囲への思いやりは、交流ルールを守ることにもつながる
運転歴が長くても自身を過大評価せず、常日頃から謙虚な姿勢で自分の運転を見直して、周囲に対して思いやりの心をもって運転をしたいものです。そういえば昔、時速300kmを超える中でバトルをするプロのレーシングドライバーが言っていました。
「サーキットはプロ同士。互いにスキルは高く、尊敬しあっているからこそ瀬戸際のレーシングバトルを行える。だから一般道は怖いよ。周囲のドライバーがどんな運転をするのか出会うまでわからないでしょ? ある意味、街中ではレース以上に周囲の状況を考えて慎重に走っているよ」
初めて道で出会う、知らないドライバー同士でシェアする道。周囲に対して思いやる心がなければ、安全に道をシェアすることはできません。そして思いやる気持ちは交通ルールも守ることにつながります。
文・鈴木珠美
カーライフアドバイザー&ヨガ講師。出版社を経て車、健康な体と心を作るための企画編集執筆、ワークショップなどを行っている。女性のための車生活マガジン「beecar(ビーカー)https://www.beecar.jp/ 」運営。