原因不明な上、個体差もあるブドウ中毒

ブドウを食べても全く症状の出ない犬もいて、どうして犬によって差が出るのか、現時点では明らかにされていません。ワイン農家で飼育されている犬が、ブドウを食べても元気で暮らしているという事例もあります。

ブドウの果実そのものが毒になるのか、付着した残留農薬あるいは何らかの重金属やカビなどが原因なのではないかという研究者もいて、不明な点が多いブドウ中毒。とはいえ、明らかにブドウが原因で命を落とす症例が世界中で発表されており、飼い主さんとしては気を付けるべきだと岡田先生は注意を促しています。

「命の危険があるのは明らかですから、それを回避した方が良いことはご理解いただけると思います。とくにブドウによって腎臓が大きくダメージを受けてしまうと、機能が回復することは難しくなります。

うちの子は大丈夫だろうと過信するのではなく、レーズンやブドウは絶対に食べてはいけないものと考えて、なるべく犬や猫のいる場所から遠ざけて保管する方が良いでしょうね」(岡田先生)

ブドウを食べた場合は動物病院にすぐに相談を

万が一、愛犬がブドウを食べてしまった場合はどうしたらよいのでしょうか。岡田先生によると、「ブドウであることが明らかである場合は、すぐに動物病院でチェックしてもらいましょう。また、本当にブドウを食べたかどうか疑わしい場合であっても、念のために相談した方が良いと思います」とのこと。素早く、慎重に対応すべきだとアドバイスしてくれました。

「獣医師会雑誌の症例レポートでは、乏尿になってしまった場合の生存率は約24%、無尿になってしまうと約12%と報告されています。これはブドウで壊された腎臓が急速に腎不全へと進み、予後不良となる、ということ。腎不全への進行をなるべく抑えることがポイントとなりますから、なるべく早く処置してもらうことが大切です」。様子を見るのではなく、すぐに動物病院へ行くことが大事とのことです。

さらに岡田先生からはこんなアドバイスも。

「レーズンは人の身近な食べ物に、いろいろ入っていますよ。クッキーやパン、ケーキ、ジュース、シリアル、アイスクリームなどの加工品の中に、レーズンが含まれていることも。よくある食材ばかりですから、絶対に食べられないように。もちろんワインもNG。これから夏に向かって美味しいブドウが出回る季節となりますが、くれぐれも食べられないようにしてくださいね」

これからの季節、犬を飼っている方は、うっかりブドウを食べさせないように注意して下さいね!

取材協力/岡田響さん(ひびき動物病院院長)
神奈川県横浜市磯子区洋光台6丁目2−17 南洋光ビル1F
電話:045-832-0390
http://www.hibiki-ah.com/

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

写真/木村圭司

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