獣医さんが教える犬のおやつの正しい量と選び方3か条

おやつの欠点はカロリーオーバーになりやすいこと

文/柿川鮎子

犬も人もおやつは大好き。おやつを通じて、犬は主人から愛情を受け取ります。愛犬が美味しそうにおやつを食べる姿を見ると、心から幸せな気分になりますね。

とはいえ、一日にどれぐらいの量まで与えてよいのか、どんなおやつを与えるべきか、正しく知っている人は意外と少ないかも。今回はノア動物病院グループ院長の林文明先生の著書『愛犬を長生きさせる食事』(小学館)をもとに、正しいおやつの量と選び方について、ご紹介します。

『愛犬を長生きさせる食事』(林文明著、本体1000円+税、小学館)

■おやつの量は一日の必要カロリーの20%以下に

林先生によると、「食事をきちっと与えていればおやつは不要なのですが、そこは孫に甘いおじいちゃんやおばあちゃんのように、だれもが犬におやつを与えたがります。おやつをあげるなら、一日の必要カロリー量の20%以内にしてください」とのこと。

一日に必要なカロリーは犬の年齢によって異なります。また、一日に何分程度のお散歩をしているのか、犬種などにもよって差があるため、かかりつけのホームドクターにカロリー量を教えてもらうのも良いでしょう。

一般的に5歳以上の成犬で体重が10キロで600キロカロリー前後が標準です。普段与えているフードのパッケージに、与える目安が書いてあるので、最初は指示通りに与え、適切な量を調整します。

特に寒い屋外で体力を使う使役犬として作られた犬種は、脂肪を蓄えやすいため、肥満になりやすく体重管理が必須となります。そうした犬種におやつを与えると、どうしてもカロリーオーバーとなり、肥満が原因となる内臓疾患に罹りやすくなってしまいます。その子が必要なカロリーをきちんと知った上で、おやつを与えることが大切です。

一日のカロリーに対して20%以下のおやつというと、たくさん与えられるような気がしますが、実際、犬のおやつのカロリー表示を見て計算すると、市販の犬用クッキーでは3枚程度とかなり少ないはず。おやつは犬が好きなものほどカロリーが高いからです。

また、おやつは嗜好性を高めるために栄養素のバランスが悪いので、20%以上は与えないようにと、林先生は飼い主さんに呼び掛けています。

和犬はおやつを目で訴えてくるので飼い主が負ける

■安全・安心なおやつ選び3か条

その1:石油由来成分が入っていないこと

では次にどんなおやつを与えるべきなのでしょうか。林先生が教えてくれた選び方の3つのポイントは発がん性が危険な「石油由来成分が入っていないこと」。安全・安心な「原産国に信頼のおけるもの」、アレルギー予防のために「グルテンの入っていないもの」の3点です。

まずは「石油由来成分が入っていないこと」。人間でも発がん性が疑われているものは、愛犬にも心配ですね。そうした怖い成分の一つが石油由来成分のプロピレングリコール(PG)やグリセリンなど。これらは比較的低コストで製造でき、品質を安定化させたり日持ちさせる効果があるため、人の食品や日用品、そしてドッグフードにも広範囲で利用されています。

もちろん、100%の確率で症状がでるわけではありませんが、毎日与え続ける場合は注意が必要となります。避けておいた方が良い物質であると判断するのが、今のところは妥当でしょう。

おとなしく車に乗ったごほうびなど訓練にはおやつが有効的

その2:原産国に信頼のおけるもの

国産だから良いとか外国産だからダメというわけではありません。ただし、獣医が指摘する「ドッグフードの選び方」意外な落とし穴とはでも紹介した通り、ドッグフードは表示がわかりにくく、飼い主さんが本当に安心できるフードであると判断しにくくなっているのが現状です。表示義務のあるフードでさえよく分かりにくいのに、おやつに関しては、もっとわかりにくい。そうした中で、愛犬に与えても安心なおやつを選ぶとしたら、やはり国産など原産国に信頼できる商品がお勧めです。

国産品の良いところは、問題が発覚した時、対応が早く、適切に処置しやすい点にあります。責任の所在が明らかなので、不安な場合、日本語でお客様サービスへと問い合わせできるのも良いところ。そうしたサービスをコストに入れるため、価格はどうしても高くなりますが、万が一を考慮して、おやつの原産国にも注意して選びましょう。

その3;グルテンの入っていないもの

小麦粉に多く含まれるグルテンはたんぱく質の一種です。20歳で全豪オープンを制したプロテニスプレーヤー、ノバク・ジョコビッチ選手の大活躍で有名になったたんぱく質としても有名です。ジョコビッチ選手は実家がピザ屋で小麦粉を含む食品を長年、摂取してきましたが、精密検査をしたところ、小麦に不耐性でした。そこで、グルテンを徹底的に排除した食生活に改善して、大成功したのです。

林先生は同書で、「犬の場合は、グルテンが多いと小麦アレルギーを発症したり、皮膚や毛並みが悪くなったり、消化不良を起こすなどの症状が出ることがあるので避けます。これは主食のドックフードでも同じことです」とアドバイスしています。

*  *  *

以上、ノア動物病院グループ院長の林文明先生の著書『愛犬を長生きさせる食事』(小学館)をもとに、犬のおやつの正しい量と選び方3か条についてご紹介しました。

おやつはしつけや訓練の道具としても有効に使える大切なもの。手から与える美味しいおやつの存在を通して、愛犬は飼い主からの愛情をたっぷり受け取ることができるでしょう。何となく与えているおやつですが、今日から少しずつ見直していきませんか?

【参考図書】
『愛犬を長生きさせる食事』
(林文明著、本体1000円+税、小学館)
https://www.shogakukan.co.jp/books/09310837

監修/林文明
日本動物医療コンシェルジュ協会代表理事。ノア動物病院グループ院長。北里大学獣医学修士課程修了。獣医師として実践を積みながら、1998年にはアメリカ コロラド州立大付属獣医学教育病院に留学し、欧米の先進動物医療を学ぶ。現在は、山梨、東京、ベトナムで5つの動物病院を経営。24時間診療、猫専門病院、動物用CT導入による高度医療などの先進的取り組みを行っている。日本動物医療コンシェルジュ協会の代表理事として、ペットの健康と食事に関する食育指導をはじめ、しつけ関連の指導などに力を注いでいる。
■ノア動物病院:http://www.noah-vet.co.jp/

文/柿川鮎子
明治大学政経学部卒、新聞社を経てフリー。東京都動物愛護推進委員、東京都動物園ボランティア、愛玩動物飼養管理士1級。著書に『動物病院119番』(文春新書)、『犬の名医さん100人』(小学館ムック)、『極楽お不妊物語』(河出書房新社)ほか。

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