大動脈瘤で入院。やっと離れられたと思ったが
伸一さんに介護認定を受けさせたかったが、またどれだけ怒鳴られるかと思うと怖くて申請できなかった。申請できたのは、伸一さんが再び大病を患ったからだ。
「2年前、大動脈瘤を起こしたんです。入院している病院で面談を受ければ、夫が怒鳴り出しても安全なので、ようやく介護認定を申請して要介護2と認定されました」
伸一さんの入院でやっと離れられたと喜んでいたが、病院で暴れたので強制退院させられてしまった。
「夫は外面がいいので、訪問看護をお願いすることにしました。おかげで、自宅で夫を24時間看るという重責は逃れることができたんです」
幸か不幸か、夫は回復し、仕事にも復帰した。これも医師のいう「奇跡」なのだろう。
それにしても、だ。会社に行って帰ることは中道さんの支えで何とかできているが、とても仕事ができる状態だとは思えない。
40代で認知症になった夫|「まだ家のローンも残っているのに」【3】に続きます。
取材・文/坂口鈴香
終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終活ライター”。訪問した施設は100か所以上。20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。
