写真はイメージです

2024年12月25日、QUICK資産運用研究所による調査「個人の資産形成に関する意識調査」で、新NISA(少額投資非課税制度)を利用している人は、全体の3割に上るという結果が報道された。同研究所は、日経平均を算出するほか、金融・経済情報サービスで知られている。新NISAの利用者のうち、その大半が運用益を確保しているという。

和哉さん(66歳)は「60歳のときに定年して妻と離婚し、家も家族もいなくなったけれど、今、資産は2000万円以上、毎日充実している」という。

壮絶ないじめで、新聞奨学生として上京

和哉さんは甲信越地方出身、中堅県立高校を卒業し、「日東駒専」と言われる大学に進学した。

「親父は役場勤めで、食うに困ることはないけれど、息子を進学させるほどの金はない。僕も順当に行けば、高校卒業後、役場か農協の職員になって、地元の女の子と結婚し、そこで老いて死んでいくという人生が待っていた。中学生まではそれでもいいと思っていたんですよ。でも、どうしても東京に出なくてはならない事件があった。夢を叶えるとか、東京生活に憧れるとか、そういう生やさしい話ではないですよ」

かつて、その話は親にもできなかったという。それは壮絶ないじめだ。

「僕の地元は、“ヤンキーになるか・否か”という価値観で動いていた。ケンカが強いことが正義で、それ以外は不可。ドラマ『スクール☆ウォーズ』の世界です。僕は小柄で暴力が大嫌いだった。両親もおとなしく、“順当にきちんと生きて、身の丈に合った生活をしていれば幸せになる”という価値観の持ち主。中学時代はおとなしくしていたのですが、それゆえに目立ってしまった。そこからいじめの標的になりました」

挨拶がわりに殴られる、上履きや机にひどい言葉を落書きされるなどは日常茶飯事だったという。

「止める先生もいません。みんな我が身が可愛いくて、暴力が怖いんです。親にも相談できずに、ひたすら耐えていました。僕は“屈してなるものか”とひたすら亀のように耐え忍ぶ戦法をとった。“いじめ甲斐がない奴”になれば、誰も手出しをしなくなると思ったんです」

我慢くらべのようないじめに発展したが、和哉さんは耐えた。

「当時はSNSがなかったから動画は晒されません。でも、SNS以上に地元の人間関係は濃密。僕が加害されたことを知る人がいないほど、遠いエリアの高校に進学したのに、いじめられていた事実が伝わっていたんです。高校時代、遠巻きにクスクス笑いをされていました。このまま地元で就職すれば、いじめの事実が一生付きまとう。東京の大学に行きたいけれど、金はない。親からは学費を出せないと言われました」

そこで和哉さんは東京の文通友達に相談。新聞奨学生という制度があると教えてもらった。

「返済不要の奨学金が支給され、無料の宿舎が提供される。さらに給料までもらえる。夢のような制度だと思いました。そこで、指定校推薦を狙って、大学に合格。内申点を得なくてはいけないのに、体育の先生が意地悪でね。運動能力に個人差があるのに、一定の基準で評価されれば、僕は負ける。とにかく田舎の価値観の全てが嫌で出たくてたまらなかった」

卒業までに原動機付自転車の免許を取り、地元と決別して上京する。次ページに続きます

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