保険には、終身保険や定期保険のような死亡時の保障だけではなく、万一の病気やけがのための保障として「医療保険」があります。健康保険などの公的医療保険もあるため、「医療保険」が必要か必要でないかという議論がありますが、実際のところはどうなのでしょうか? 医療保険の必要性にスポットをあててみていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
医療保険は必要ないといわれる理由とは?
医療保険が必要になるケース
自分に合った医療保険を選ぶポイント
ライフステージが変化したら、医療保険を見直した方がいい?
まとめ
医療保険は必要ないといわれる理由とは?
医療保険は必要なのか、という議論を耳にすることがあります。なぜ、そういった議論になるのかを紐解く前に、まずは医療保険とはどのようなものなのか、基本的な仕組みについて簡単におさらいしておきましょう。
医療保険とは?
医療保険とは、病気やけがで通院や入院をしたときに、医療費の負担を軽減してくれる仕組みのこと。公的な医療保険制度と、民間の保険会社が提供する医療保険があります。今回は、民間の医療保険について解説いたします。
一般的には、通院や入院をした時に一日当たりの定額で、給付金が日数分支払われるタイプが多いです。手術や高度先進医療などの治療を行なった際にも、給付金が支払われるなどの特約を付加することで、保障内容を充実させることができます。
医療保険が必要ないと言われる理由
医療保険は必要ないという人もいます。不要であるといわれる理由は、主に以下の3つが考えられます。
資産で賄える
十分な資産を持っている人は、万一病気やけがで入院や通院をした場合でも、資産で費用を賄うことができるため、保険に加入する必要性はあまり感じられないでしょう。仮に入院が長引いたり、手術で費用がかさんだりした場合でも、高額療養費制度により1か月に支払う自己負担額には限度が設けられているため、自己負担額分を資産で賄えれば十分であるといえます。
会社の福利厚生が充実している
健保組合の傷病手当金のほか、会社からの傷病見舞金制度があるなど、会社の福利厚生が充実している人も医療保険の必要性が低い場合があります。自分の勤めている会社の福利厚生は、どのようなものなのかを確認しておくことは重要です。
掛け捨ての場合が多い
医療保険は掛け捨てのタイプが多く、掛け捨ての場合、病気やけががなければ給付金の支払いはありません。例えば、保険料が毎月5,000円だった場合、年間の保険料は60,000円。10年間加入していると、トータルで600,000円の保険料を支払うことになります。この保険料分を医療費の備えとして、貯蓄していくという考え方もあります。
医療保険が必要になるケース
医療保険が必要になるのは、以下のケースが考えられます。
十分な資産がないケース
これから資産を形成していく若年層など、十分な資産を持っていない人は医療保険が必要になる可能性が高いといえます。保険料の分を、医療費の備えとして貯蓄していくという考え方もありますが、病気やけがはいつなるかわからないため、万一の時のために加入するのが保険に加入する本来の目的です。
病気やけがでの自己負担をできるだけ無くすために、医療保険で備えるといいでしょう。
高額な医療費がかかるケース
前述した高額療養費制度は、公的医療保険が適用されない全額自己負担となる療養費については、適用外となるため万全とはいえません。高度先進医療のなかには公的医療保険の適用が無く、治療の種類によっては200万円を超えるような高額な療養費が必要となるケースがあります。高度先進医療に対しての保障が、特約として付加されている医療保険などの必要性は高くなります。
がんのように高額な治療費が必要な場合、がんの保障に特化した「がん保険」があり多くの人が加入しています。
自分に合った医療保険を選ぶポイント
自分に合った医療保険を選ぶ主なポイントは、以下の通りです。
入院給付日額
入院給付日額が足りなければ、足りない分の自己負担が発生しますし、過剰であればその分余計に保険料を支払うことになります。適正な給付日額を見極めることは重要です。
1入院あたりの支給限度日数
医療保険では1入院あたりの支払限度日数が60日までや、120日までというようにあらかじめ設定されます。病気の種類によって、治療期間も様々ですのでどのような病気に備えたいのかもポイントの一つになるでしょう。
保障を手厚くする特約
高度先進医療などの高額な療養費の自己負担に対しての保障や、三大疾病となった時に一時金としてまとまった給付金が支払われる保障など、保障を手厚くする特約について検討することも重要です。
保障期間
保障期間は、10年毎に更新となるタイプや、歳満了といい60歳までや65歳までといったタイプの期間が決まっているものと、一生涯保障が続く終身タイプのものがあります。保障がいつまで必要なのかという視点も選ぶポイントとなります。
保険料負担
保障を充実するあまり、保険料の負担が大きくなりすぎて日常生活にかかる費用を圧迫するのは賢くありません。自分が必要な保障を検討するとともに、保険料を払い続けることができるのかについても考慮することが大切です。
ライフステージが変化したら、医療保険を見直した方がいい?
ライフステージが変化したときに、医療保険の見直しをすることは重要です。例えば、定年を迎えた時に退職金をもらうことで、十分な資産が準備できた人は医療保険に加入している必要がなくなるかもしれません。
一方で、高齢になればなるほど病気による入院の可能性が高まるため、医療保障の充実が求められる場合もあるでしょう。ライフステージごとで、資産や負債、収入や支出は大きく変化することがあります。それぞれのライフステージでどの程度の保障が必要であるか、ライフステージが変化するごとに見直すことをおすすめいたします。
まとめ
今回は医療保険について、その必要性について考えました。医療保険が必要かどうかは人それぞれのライフステージや資産状況などによって異なります。まずは、今の自分にはどのような保障が必要なのかということから考えてみてはいかがでしょうか。
さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)
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