診断は「上皮内がん」
なかなか生理が終わらないことに疑問を持った温子さんは病院に。そこで検査を勧められ、上皮内がんという子宮頸がんの一歩手前の状態であることが発覚する。
「中学の頃に友人で生理が1か月続いた子がいたんです。その子はホルモンバランスの乱れで薬を飲むだけですんでいたので、私もそうだろうと思っていました。生理の量が多いこともホルモンバランスの乱れだという自覚もありましたから。
病院では検査をほとんどしていないことを医師に指摘され、検査をすると異常が見つかった……。手術しないといけないと言われたとき、聞き取れたのはそのことだけ。それ以外の医師からの言葉はまったく入ってきませんでした」
手術は2泊3日の入院で終わり、自宅療養の期間も合わせて1週間ほどだった。その後すぐに仕事に復帰したが、温子さんは病気になったということを職場の1人にしか伝えなかった。その理由は病人扱いされたくなかったからだ。そんな温子さんの思いとは裏腹に、母親は温子さんの健康に敏感に反応するようになったという。
「実家は比較的都市部に近いところにあって、私は家を出ることなく実家から職場に通っていました。だから、終電までや1日仕事から帰らない姿も両親は知っていたんです。職場では病気のことを伝えていないから、病気を理由に休めない。なのに、母親は自分の体調を崩すまで仕事するのはおかしいと、私の仕事に対する姿勢に口を出してくるようになりました」
病気になって、これ以上何かを失いたくないと思った温子さんがとった行動とは。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。