取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

昭和、平成、令和と時代が移り変わるのと同様に、家族のかたちも大家族から核家族へと変化してきている。本連載では、親との家族関係を経て、自分が家族を持つようになって感じたこと、親について思うことを語ってもらい、今の家族のかたちに迫る。

最近の物価高により生活苦を引き起こしかねないと懸念している人が多い。総務省が発表している「消費者物価指数」によると、2020年の全国の物価の平均を100とした場合、2023年の8月の総合指数(全国平均)は105.9となっており、物価高はしばらく続くと予想されている。ウェブスターマーケティング株式会社では、全国の男女322人を対象に「借金をした理由」「借入金額」に関するアンケート調査を実施(実施日2023年2月28日~3月1日、有効回答数:322人(男性191人/女性131人)、インターネットによる任意回答)。調査では、借金をした理由の1位は「生活費」となっている。大きな買い物をするために借金をするのではなく、今月ちょっとお金が足りないという感覚で借金をする人が多いことがわかる。借金の返済方法については「身内から借りる」が27.6%で1位となっている。

今回お話を伺った夏美さん(仮名・45歳)はバツイチで現在は実家に戻り、母親と暮らしている。母親とは10年以上疎遠だったそうだが、原因は実の兄。多額の借金を親にしている状態だという。

兄は女にだらしなかった

夏美さんは大阪府出身で、両親と5歳上に兄のいる4人家族。小さい頃の兄のイメージはスポーツ万能で友だちの中のリーダー的存在。容姿も整っていたことから、周囲からかっこいい兄がいることを羨ましがられていたという。

「兄は勉強はできなかったけれど、明るくて面白くて、スポーツ万能でした。そして、私の友だちの中にも兄に憧れている子がいるくらい見た目がかっこよかったんです。私もそんな兄がいることが自慢でした。

そんな兄が変わったのは、大学に入ってから。それまではサッカー一筋という感じだったのに、急に色気に目覚めた感じで服装などをやたら気にするようになり、欲しいものをなんでも手に入れようとしました。でも、そのときはまだ借金はしていませんでした。アルバイト代をすべてつぎ込んでいて、社会人になっても給料を全額使っているような生活をしていましたけどね。だから、『貯金がない』といつも言っていました」

飲食店に就職した兄は25歳のときに授かり婚をする。しかし、お店で働くアルバイトの女性と不倫関係になり、2年で離婚。その慰謝料を両親が肩代わりした。

「不倫相手の女性はまだ10代だったんです。このときから兄が気持ち悪い存在になりました。貯金のなかった兄に慰謝料なんて払えるわけもなく、両親が肩代わりしました」

【養育費を理由に家に一切お金を入れない兄。次ページに続きます】

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