取材・文/ふじのあやこ

写真はイメージです。

一緒にいるときはその存在が当たり前で、家族がいることのありがたみを感じることは少ない。子の独立、死別、両親の離婚など、別々に暮らすようになってから、一緒に暮らせなくなってからわかる、家族の大切さ。過去と今の関係性の変化を当時者に語ってもらう。

現在、離婚後の「共同親権」導入を柱とした民法改正案が審議されている。共同親権とは、離婚後に父と母の双方に親権を認めるというもの。現状は父と母のどちらか一方が子どもの親権を持つ「単独親権」のみとなっている。そこでママ向けの情報発信メディア「ママスタセレクト」では、「共同親権」についてのアンケート(実施日:2024年2月17日〜2024年2月18日、有効回答数:1428人、インターネット調査)を実施。アンケートで「離婚後の共同親権に賛成ですか? 反対ですか?」と聞いたところ、もっとも多かった回答は「どちらともいえない」(45.2%)だったが、反対、賛成で見てみると、賛成が20.3%に対して反対は34.5%となっている。

今回お話を伺った美和さん(仮名・38歳)は小学生のときに両親が離婚。親権は母親になり、その後に母親が再婚した。普通養子縁組を義父とした後も実父の希望で月1度の面会を継続していた。【~その1~はコチラ

新しい家族への疎外感を実父は救ってくれた

中学生の娘と別々に暮らしている実父との会話は共通の話題も乏しく、弾まなかった。しかし、実父の希望もあって月に1度の面会は継続していた。当時を「無理をしてでも継続していてよかった」と美和さんは振り返る。

「母親と義父の間に子どもができたんです。弟か妹ができると2人から伝えられたときは、嫌という気持ちが一番に出てきました。でも2人の前では喜ばないといけないとも思いました。そのとき母親は38歳、義父も40歳で、子どもができることも当然だと今なら思うのですが、その事実を恥ずかしいと、ギリギリになるまで友達に言うことができませんでした。実父にもなぜか申し訳なくて伝えられませんでした。

母親の妊娠期間は、家族で仲良くしていたのに、家の中で3対1になって、孤立してしまったという思いがありました。義父、母親、お腹にいる弟3人と、私1人。だから実父の存在は、私は1人じゃないって思わせてくれたものであり、心強い存在だったんです」

弟が誕生してから母親は産後うつの診断を受ける。学校がある美和さんは義父とともに家に残り、母親は遠方にいる母方の実家にしばらく戻ることになる。その間の義父との2人きりの生活はとても楽しいものだったという。

「義父と2人きりになる前は、急に泣き出したり、食べ物を吐いたりする母親のケアで必死で、弟が誕生したことへの喜びや寂しさなどを感じる余裕はありませんでした。

私は中学3年で受験勉強中だったこともあって、義父と2人きりで家に残ることになったんです。義父との生活では、義父は私のために早く帰って来てくれてごはんを作ってくれたり、夜食を用意してくれたり、勉強に付き合ってくれたりしました。母親は4か月ほどで帰ってきたのですが、帰ってくるまでの間に私、3キロも太っていたんです(苦笑)。思わず義父に文句を言ってしまいました」

【義父が大切だから実父と会わないことを決めた。次ページに続きます】

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