彼は自分の親のことを「親ではなく血のつながった他人」と言った
彼と共通の仲の良い友人はおらず、職場もバラバラ。そのことが彼を不安にさせているかと思い、同棲を提案したのは律子さんのほうだった。律子さんの家に2人で同棲の許可を取りに行ったときに、彼が親と不仲だということを知った。
「同棲をする前に私の両親にちゃんと挨拶をしたいと彼から言われて、私の実家に行きました。挨拶では、もう私も25歳だったし反対されることもなく、父親はお酒が好きなので彼と一緒に飲めるのがうれしいのか上機嫌でした。飲みの場で父親から彼の両親について質問したところ、出てきたのは酷い悪口でした。『親ではなく血のつながった他人』『まだ生きてるんですよね』といった言葉にあまりにもゾッとしたので覚えています。
元々、2人のときに彼に何度か両親の話題を振ったことがあるんですが、何度か濁されたので言いたくないんだと思って聞いてこなかったんです。このときは酔っぱらっていたから、彼はつい言ってしまったんだと思います。彼が親とここまでの不仲だと知って、びっくりしました」
彼のそんな怖い一面に気づくも、そのまま2人は同棲をスタート。律子さんの両親も同棲に反対することはなかったが、母親は逐一連絡を入れてくるようになったという。
「私が実家から引っ越しの準備をしていたときに、『このまま同棲しても大丈夫なの?』と母親から聞かれたことがありました。確かに親に対する暴言を吐く彼のことを少し怖いとは思いましたが、自分に向けられたものではなかったし、同棲を提案したのは私のほうだったので、大丈夫だと伝えました。
母親は私が心配だったのか、同棲を始めてからも逐一私に連絡を入れてくるようになりました」
一緒に暮らし始めて気づいたのは、彼の気持ちの不安定さ。イライラから余裕がなくなった2人が出した結論は別れだった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。