妻の稼ぎは夫の3倍以上に
一緒に仕事をしていく中で、周囲からの評価は夫よりも早織さんのほうが高かった。早織さんがフリーになって3年後に結婚し、結婚した1年後に夫もフリーに転身した。
「私がフリーになったのは、仲良くしていたライターさんに触発されたという感じです。大変なことも多そうだったけれど、自由に仕事をしている姿が羨ましくて。
夫のほうはフリーになるつもりはなかったのに、新しく入った上司と折り合いが悪くなって、予定外に辞めることになったみたいです。そのとき私はフリーなって3年が経っていて、ある程度の収入があったので、万が一夫の仕事がうまくいかなくても生活自体は何とかなると思っていました」
夫の仕事は3年経っても軌道に乗らなかった。一方、早織さんは大きな仕事を任されるようになり、早織さんの収入は夫の収入の3倍以上となっていた。
「同業なので私の仕事を手伝ってくれればいいのに、男のプライドなのか、私が紹介した仕事をすることをひどく嫌がったんです。私たちは同じところで勤めていたときは同じ方向を向けていたのに、お互いがフリーになったらライバルになってしまったようでした。
夫は仕事を紹介してほしいと周囲に伝えることもできずに、勤めていた頃より収入が落ちました。それでも家計については完全に折半だったし、夫からもお金がないなど何も言って来なかったので、特に気にしていませんでした」
夫婦にお金の問題が発生したのは、夫が自分の両親に渡していたお金を作ることが苦しくなったことから。夫は早織さんに頼るしかなく、月に5万ほどだったため、早織さんも了承してしまったという。
「私は月に夫の収入の3倍ほど稼いでいました。だから、生活には余裕があったんです。夫が両親にお金を渡していたことを結婚後も内緒にされていたのは少し引っかかりはしましたが、親思いなところをステキだと思い、協力したくなったんです」
息子ではなく、息子の妻からの援助だとわかったときの義両親の反応は。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。