取材・文/ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。

今回お話を伺った奈実さん(仮名・39歳)は26歳のときに結婚して、現在は兵庫県で旦那さまと2人の子どもと暮らしています。奈実さんは旦那さまとの育った環境の違いに戸惑い、義両親からの、嫁=家政婦のような扱いにストレスが溜まり続けているとのこと。

「義両親は、嫁という立場は夫のすべての世話を行う人であり、子どものことも1人ですべて行うという価値観の持ち主。そして自分たちが時代遅れではなく、今の時代がおかしいという考えも持っていて……」

離婚した父は私に甘く、兄は家の女性たちの言いなりだった

奈実さんは兵庫県出身で、母親と7歳上に姉、2歳上に兄のいる4人家族。両親は奈実さんが小学生の頃に離婚しましたが、たまに会う父親とはとても仲良しだったと振り返ります。

「離婚前にはよくケンカしていたようですが、私が物心ついていた頃には、父親はたまにしか帰って来ないような存在で、両親がケンカというか話している姿はあまり見ませんでした。離婚してからのほうが両親は仲が良くなったと姉も兄も言っていて、離婚後のほうが家族でご飯を食べに行くことが多かったですね。それに父親は特に私に甘くて、月に1~2度のペースで一緒に出掛けていたんですが、姉と兄があまり父と出掛けなくなってからも、私は何か買ってもらえるからという理由で、中学生になっても同じペースで会っていました。最初はプレゼントが欲しかったからでしたが、父に対しては反抗期もなく、何でも相談できる関係でいました。離婚は悪いイメージがあるかもしれませんが、私たち兄妹は両親が離婚して良かったとずっと思っています」

父親がいない家庭では母親の言うことが絶対で、次に強いのが姉。兄は女性たちによく使われていたとか。

「よく女ばかりの中で育った男は優しいとか言われますが、私の兄も典型的なそんなタイプ。母には特に優しくて、姉には色んなことを命令されてそれに従っていました(苦笑)。私は年が近くて小さい頃はケンカしていたけど、私をいじめると姉がバックにいることがわかったのかあまりケンカもしなくなって。

父も優しくて何でも言うことを聞いてくれるし、兄は家の女性たちの尻に敷かれている。私の中で男の人のイメージが固まったのは小学生の頃かもしれません(苦笑)」

【妊娠に対して、深く謝罪を繰り返した義両親。次ページに続きます】

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