母親から切り出された熟年離婚。父親との2人暮らしがスタート
姉が結婚して3人になった家族は少しだけ寂しさが残ったそう。そんな中で一人暮らしをしたいと言い出せずにいた時、母親から離婚を告げられたと言います。
「まったく気づきませんでした。だってもういい歳で、ケンカも無くなっていたので、うまくいっていると思っていましたから。でも、実は冷めきっていただけで、母親から離婚したいと言い出して、2人の話し合いで姉の結婚式が終わってしばらく落ち着くまではと決めていたみたいです。私も学生の頃なら嫌がったりできたかもしれませんが、もう成人した社会人。母親の報告を黙って聞くしかできませんでした」
マンションには母親が残り、父親は家を出て行くことに。一人暮らしを計画していた夏美さんでしたが、父親との2人暮らしを決意します。
「すごく悩みましたよ。決意した理由は、父親を一人ぼっちにするのが不安だったからです。当時はまだ熟年離婚なんて言葉はなくて、周りの友人にもそんな両親はいなかったから誰に相談したらいいかもわからず……。年齢を重ねていくと、女性は地域の付き合いとかも上手にできますが、男性はどんどん孤立していくイメージがあるんですよね。父親について行くことは、ちゃんと母親には話して納得してくれました。母親からは『もう大人なんだから親のことを気にすることはない』と言われましたけどね。
父親は家が決まるまでは離婚後も1週間ほど一緒に暮らしていたので、父と話し合って、実家からは1時間ほどの少し離れたところに賃貸で2人暮らしを始めました」
一軒家購入、そして夏美さんの結婚。近くで過ごすことで、以前は気づかなかった父親の姿が見えてきます。【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。