突然訪ねてきた母親を、夫は投資物件に住ませる

4年前に夫の母親が訪ねてきたことで、穏やかで幸せな毎日にひびが入ってきた。夫は当時62歳。その母親は、夫が10歳のときに、夫の家庭教師の大学生と駆け落ちしていて、夫は母親に捨てられた。それ以降、心に深い傷を負い、夜眠るときに妻・実里さんの手を握る習慣は今も続いているという。

「その母親が、夫を訪ねて来たのです。あれは日曜日の昼でした。たまたま夫が趣味のガーデニングをしていたときに訪ねて来たそうです。夫は玄関でへたりこんで、老婆の手を握って号泣していました」

母親は80歳。酒焼けした声と骨と皮のように痩せた体つきをしていた。夫は「お母さん! お母さん!」と泣いており、実里さんは夫への尊敬が一気に冷めたという。

「私も兄と弟がいるので、男がマザコンというのは知っている。それにつけても、夫の反応は激しい。いくらなんでも、そこまで取り乱すかと。しかも、母親は困窮しており、“家に置いてほしい”と言うんです。どこまで図々しいんだと。我が子を捨てておいて、男にうつつを抜かして、困ったら助けてほしいって、虫がいいったらありゃしない」

夫は実里さんの怒りに全く気付かず、「ウチの物件に住めばいい」と言った。たまたま、前の住人が退居し、リフォーム待ちの物件が空いていたのだ。

「2LDKの駅前物件で、貸せば17万円の収入になる。物件購入時の借金だって、あと4000万円は残っているのに、母親にポンと貸してしまう。私が“不動産契約を結んだほうがいい”と言うと、“オマエは黙ってろ!”と怒鳴るんです」

結婚30年以上、初めて夫に怒鳴られた瞬間だった。実里さんはリフォーム前に母親に入居させるのかと思ったが、夫はリフォームをして、家電も最新のものを揃えた。その間の2週間、駅前のホテルに母親を泊めた。

「私が“家には入れないで”と言ったら、“オマエみたいな薄情な奴は、そういうと思った。俺の小遣いから母のホテル代を出す”って。そのホテル代は14日間で30万円ですよ。明細を取り寄せたら、ルームサービスをとっており、どこまで図々しんだと呆れました」

母親は当然のことながら、国民年金を払っていない。生活費は実里さん夫妻が負担することになった。

「80歳でも働いている人はたくさんいる。週に3時間だけでも働くとか、いろんなことができると思うんです。それなのに、家でテレビを見たり、スナックに遊びに行ったりしているんです」

夫から母親に渡す月の生活費は15万円。夫は1日にせっせと届けに行っていたが、半年もすると「悪いけど、実里さんが届けてくれる?」と言うように。

不思議に思い、母親の家を訪ねると、家にはモノがあふれ、汚部屋のようになっていた。

「信じられないんですけど、夫は“足りないものはこれで買って”とネット通販のアカウントを教えてしまったんです。義母は堰を切ったように買い物に興じ、段ボールが堆積していく。その買い物代は月20~30万円と聞きました」

【義理の妹まで家に住むようになる……後編へと続きます】

取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)などに寄稿している。

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