法要や法事は聞きなじみのある言葉です。人が亡くなられたら、毎年法事を執り行う。小さい頃、ご近所や親戚などの法事に呼ばれて参列したものです。法事や法要という言葉は、実は仏教用語で神式の儀式の中では使いません。では、神式では何というのでしょうか……?
この記事では「神式の法事」について、京都・滋賀で85年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。
もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。
目次
神式の法事について
神式の儀式で包むのし袋とは
御玉串料を渡すときのマナー
神式の法事の参列マナーとは
まとめ
神式の法事について
法事や法要という言葉は、仏式の儀式に使います。仏式では一部の宗派を除き、亡くなった方を追善供養する、という目的で法事や法要を執り行います。生きているものがこの世で徳を積むことによって、亡くなられた方が、よりよい世界に生まれ変われるように、と願う儀式です。
神式では、家の守り神となられた祖先の魂を祀るための「追悼儀式」で、仏式のように法要や法事とはいいません。
神式の追悼儀式
神式で法要や法事にあたる儀式は、「霊祭(れいさい)」と「式年祭(しきねんさい)」と呼びます。これらは、自宅か墓前、もしくは葬儀会館などで執り行われるのが一般的です。
霊祭とは、亡くなられて1年未満に行われる儀式です。式年祭は亡くなられてから1年後以降、年単位の周期で執り行なわれます。
10日ごとの霊祭
亡くなられた翌日に行われる「翌日祭」から10日ごとに「十日祭」「二十日祭」「三十日祭」「四十日祭」、そして仏式での忌明けの四十九日法要にあたる「五十日祭」、「百日祭」と続きます。
仏式での初七日法要にあたる十日祭では、自宅などに遺族だけでなく親戚や知人、そして神官も招き祭詞を奏上。儀式の流れは葬儀にならって行なわれ、霊祭後には会食を行います。
忌明けとなる五十日祭
五十日祭は、仏式での四十九日法要。忌明けとなる大事な日です。本来なら、五十日祭の翌日に行なう「合祀祭」も最近では同時に行います。合祀祭では、「清祓いの儀(きよはらいのぎ)」が執り行われ、忌明けの祓いとお清めをします。神棚封じの半紙をはがし、故人の霊璽を祖霊舎に移してご先祖と合祀され、家の守り神となるのです。
五十日祭では、神官と親族だけでなく、友人知人も招き、会食の場も設けます。納骨も同時に行うケースが多いようです。
1年ごとの式年祭
1年後の命日にあたる日が「一年祭」にあたります。仏式の「一周忌」にあたります。3年後の「三年祭」、5年後の「五年祭」、10年後の「十年祭」、そして50年後の「五十年祭」で弔い上げとなります。一年祭と三年祭は、親族や知人、友人を招いて執り行なわれますが、五年祭以降の式年祭は家族だけで済まされる方が多いようです。
神式の儀式で包むのし袋とは
神式の儀式で使う不祝儀用ののし袋、仏式でいうところの「香典」とはどんなものでしょうか。親族側と参列側について、それぞれ解説します。
神式での香典とは
神式の場合は、「香典」ではなく、「御玉串料」といいます。玉串料とは、神様にお供え物として用意する金銭のことです。お米やお酒、お菓子などの食べ物のお供え物は「神饌(しんせん)」と呼びます。お花や線香、ろうそくなどは仏式でのお供え物であって、神式では相応しくありません。
不祝儀袋の注意点
水引は双銀か白黒のもので、結びきりか、鮑結びの不祝儀袋を選びます。蓮の絵や模様があるものは避けましょう。こちらは一般的なもので、地域によって差はあります。実際は神社や葬儀会社に確認するといいでしょう。
不祝儀袋の表書き
不祝儀袋の中央に「御玉串料」と書きます。あるいは書かれているものを用意します。その中央下に名前をフルネームで書きます。墨は薄墨を使いましょう。
神官に祭祀料として渡す場合は、濃い墨で書きます。喪家が受け取る御玉串料と区別したい場合は、「御祭祀料」でも構いません。
御玉串料の相場
参列する場合の相場は、立場によって変わります。仏式のものとそう変わりはありません。故人からみて2親等以内であれば、3万~5万円、3親等以上であれば1万円~3万円、知人友人の場合は、5千円~1万円あたりが相場となります。
神社にお渡しする御玉串料の相場は、3万~5万円です。食事会を開く場合は、それとは別に「お膳料」「お車料」それぞれ5千円~1万円ずつ必要となります。
御玉串料を渡すときのマナー
霊祭や式年祭で、御玉串料を渡すマナーというものはあるのでしょうか? 親族側と参列側について解説します。
袱紗に包む
仏式と同じように袱紗に包んでお渡ししましょう。色は灰色や紫、紺、深緑など落ち着いた色のものを使いましょう。紫色のものは慶事にも使えますので一枚あると便利です。神官に祭祀料としてお渡しする場合は、切手盆などに載せてお渡しするのが正式となります。
お札の入れ方
お札は新札を避けて使用感のあるものを入れましょう。しかし、あまりにも汚れているお札は心証を悪くしますので、新札を折って折り目をつけるか、比較的きれいなお札を使いましょう。お札の入れ方は、人物像を裏にして下に来るようにします。不祝儀袋を正面にしてお札を取り出したときに、人物の顔が見えない位置が好ましいです。反対に神官に祭祀料として渡す場合は、人物の顔が最初に見える位置に入れましょう。
神式のお供え物
神式でのお供え物は、基本的に食べ物です。お米やお酒、餅やお菓子などをお供えにお持ちします。仏式の花や線香はご法度です。お供えには仏式と同様、のしを掛けます。
関西地方では、黄白の5本で、関東など地域によって黒白5本の結びきりになります。表書きには「御供」や「奉献」「奉納」などと書くのが一般的です。のしの下にはお名前をフルネームで書きます。
神式の法事の参列マナーとは
神式の法事における参列のマナーは、仏式の時とそう変わりはありません。神式での独特のものを解説します。
言葉遣いのマナー
言葉遣いで一番注意したいのは仏教用語です。お悔やみの言葉で、冥福、供養、往生、成仏などは、神式の儀式の中では一切使いません。お悔やみの言葉は、「御霊の平安をお祈り申し上げます」「安らかに眠られますよう」などが神式では使われます。また仏式と同様、重ね言葉や、忌み言葉は使わないようにしましょう。
服装のマナー
服装は仏式と同じように、準喪服で構いません。ダークスーツなどの服装で華美でなく、光沢のないものを選びましょう。また、数珠は必要ありませんので、ご注意ください。
まとめ
仏式と神式、その背景となる仏教と神道では、死に対する考え方が全く異なります。つまり用語から立ち居振る舞いから、儀式の内容、そして葬儀や儀式自体の目的も大きく違うのです。
しかし、亡くなられた方を偲び、生前のお付き合いに対する感謝の気持ち、残された方々への心遣い、それらは仏式であろうが、神式であろうが、いずれも変わらないものです。
●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)
京都・滋賀で85年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。
●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB)