服装というものは、華美さや優雅さだけを競うものではありません。その場その場に応じた着こなしと、立ち居振る舞いやマナーまで含めたものを言います。特に、冠婚葬祭での服装や立ち居振る舞い、マナーには、その「人となり」が出やすいのではないでしょうか。急な知らせに右往左往しないように、しっかりと事前に知識をつけておきましょう。
この記事では、ご自宅に弔問する際の「弔問の服装やマナー」について、京都・滋賀で85年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。
もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。
目次
弔問とは
弔問時の服装
弔問時のマナー
弔問時の流れ
まとめ
弔問とは
弔問とは、お通夜・葬儀を含め近しい方の訃報を受けて、お悔やみを伝えに行くことをいいます。この記事ではお通夜・葬儀に行けない場合の弔問について解説していきます。
ご自宅への弔問について
弔問は遺族のことを考えて、お通夜か葬儀に参列して、お悔やみを伝えるのが一般的です。よほど特別な事情がない限りは、自宅への弔問は控えましょう。
お通夜の前の弔問
故人と親しい関係でない限りは、お通夜の前に弔問はしません。親しい間柄といっても突然弔問するのではなく、必ずご家族に連絡をして許可を得てから弔問しましょう。
葬儀後の弔問
葬儀後の弔問については、葬儀後、三日から五日以上空けます。また、出来る限り四十九日までには済ませておきましょう。弔問する前には必ず連絡を入れ、弔問時も長居は禁物です。ご遺族の負担にならないようにすることが大切です。
弔問時の服装
お通夜と葬儀以外での弔問は喪服ではなく、「平服」を着用しましょう。ここでの平服とは、普段着のことではありません。一般的には「略喪服」といわれるものです。地味な色合いのもので、光沢のない無地の素材のもの。一般的にはビジネススーツやワンピース、アンサンブルなどのことをさします。
お通夜前の弔問では、外出先から直接駆けつけることもあろうかと思います。その際はある程度の服装は許容されますが、アクセサリーなどの華美なものは極力はずして行きましょう。
なぜ喪服ではないのか?
なぜ喪服で弔問しないかといいますと、お通夜前に喪服で弔問すると「亡くなることを予見していた」と捉えられ、遺族に対して失礼となるからです。葬儀後の弔問も平服を着用しますが、お通夜前の弔問とは違い、葬儀での悲しみを思い起こさないようにという意図があります。
男性の弔問時の服装
地味な色で光沢のない無地素材のビジネススーツやジャケットにスラックス。白いシャツと地味なネクタイを着用しましょう。
女性の弔問時の服装
地味な色で光沢のない無地素材のワンピースやスーツ、アンサンブルを選びます。光るアクセサリーははずし、薄いメークにしましょう。お通夜前の弔問は突然のことですが、葬儀後の弔問は、あらかじめ時間を決めてからになりますので、服装と身なりはきっちりとしたものにします。
女性は夏場でもなるべく肌の露出を押さえた服装を心がけます。アクセサリーは結婚指輪程度にしておきましょう。靴やバッグも華美なものは避け、シンプルなものを選びます。
親族の場合は、通夜や葬儀の用意で忙しいご遺族のお手伝いをする機会があるかも知れませんので、白か黒の無地のエプロンを用意しておきましょう。
弔問時のマナー
では、実際に弔問した時のマナーについて解説していきます。
弔問時の持ち物
お通夜前の弔問には香典は不要です。お通夜と葬儀に参列できず葬儀後に弔問する場合、香典は持っていくようにしましょう。
弔問時のお供え物
葬儀後の弔問の場合は、故人が生前好きだったお菓子や果物をお持ちすると良いでしょう。事前に連絡をしてからお持ちするようにします。お供え物を辞退されている場合もありますので、必ずお供え物は遺族に相談してから、手配するようにしましょう。
弔問時の言葉遣い
当日玄関先でお会いした時に、短い言葉でお悔やみの言葉を述べて挨拶しましょう。言葉に詰まったら無理に言葉を発する必要はありません。一礼して哀悼の意を表します。
弔問で家に上がらない場合はその場で香典とお供え物をお渡しします。お通夜前の弔問では、「なにか手伝えることがあればおっしゃってください」と遺族の手伝いを申し出ましょう。故人との対面や線香はすすめられた場合のみ、家に入ることができます。その場合でも長居は禁物です。
弔問客が使ってはいけない言葉
遺族と対話する場合、忌み言葉は使わないようにしましょう。「重ね重ね」や「くれぐれも」などの重ね言葉や、「死ぬ」「再び」「追って」など死そのものや、不吉なことを連想させる言葉にあたります。また、死因などを聞くこともご法度です。遺族からそのことに関してお話がなければ持ち出してはいけません。
弔問時の流れ
弔問時、自宅にあがった場合の流れを簡単に解説します。
故人との対面
お通夜前の弔問では、ご遺体との対面をすすめられることがございます。作法として次の手順で対面してください。
1.故人の枕元で正座して、両手をついて一礼する
2.遺族が白布を外したあと、両手を膝の上に置いて対面する
3.故人に深く一礼して、合掌する
4.少し下がって遺族に一礼する
線香の上げ方
弔問し自宅に上がる場合は、お線香をあげるのが一般的です。お線香をあげる目的は、故人を供養するためです。一般的な手順として、
1.遺影や遺骨が安置されている祭壇の前に座り、両手をついて遺族に一礼、同じく遺影に一礼します。この際、手には数珠を持っておきます。
2.ろうそくに火がついていればそのまま線香の先に火を移します。ろうそくに火がついていなければ、自分でろうそくに火をつけます。線香の本数は気にしてなくていいですが、迷われたら一本にしましょう。迷わずに浄土、あの世に行けるように、との意味があると言われています。
3.線香に火がついて煙が出たら左手であおいで消します。口で火を吹き消すことはタブーです。
4.火を消した線香を香炉に立てます。宗派によっては寝かす場合もあります。
5.「おりん」を一度鳴らしてから合掌。両手をついて遺影に一礼、同じく遺族に「ありがとうございました」と言いながら一礼します。
まとめ
弔問時の服装とマナーは、特に遺族と近くにいることになりますので、十分に配慮をしてください。身近な人を亡くし落胆されているうえに、葬儀での疲れやその後の手続き等で、大変お忙しくされています。長居は禁物ですし、会話での言葉遣いにも配慮が必要です。
●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)
京都・滋賀で85年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。
●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine FB)