資産形成の手段の一つとして、長期運用をしていく際に投資信託を活用することは一般的ですが、いつかは売却することになります。投資信託の基準価額は常に変動しますので、いつ売却したら良いのか、売却のタイミングに悩む人も多いのではないでしょうか? この記事では、投資信託の売却のタイミングや、売却するときの注意点について詳しく見ていきましょう。
100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。
目次
投資信託を売却するタイミングは?
売却するときの注意点
売却時にかかる税金は?
まとめ
投資信託を売却するタイミングは?
投資信託を売却するタイミングは、投資家の目標や状況によって異なります。ここでは、いくつかの一般的な売却のケースを見ていきましょう。
目標金額の達成
投資信託を保有していて目標が達成された場合、利益を確定するために売却をすることがあります。例えば、教育費や住宅購入のための資金を得るために投資をしていた場合、目標金額に達したあるいは、目的の時期がきたときに売却することが考えられるでしょう。
リバランス
投資信託のポートフォリオ(資産配分割合)は、経済状況等により変わっていきます。元々設定した資産配分に対し、特定の資産が大きく増加したり、減少したりして割合が変わった場合は、リバランス(初めに決めた資産配分割合に戻す)をする必要があることを知っておきましょう。
リバランスは、元の配分より増えた資産の一部を売却して、その売却資金で他の減った資産を購入し、元の配分割合に戻す作業のことを言います。
緊急時のリスク回避
経済や市場の不安定性が高まり、保有している投資信託の評価金額の下振れリスクが明確になるような緊急事態が生じた場合には、投資信託を売却して現金に戻すことで、リスク回避を図ることが考えられます。
ただし、市場のタイミングを正確に判断することは難しく、短期的な価格変動によって投資判断を下すのは困難であることが一般的です。投資信託は長期的な運用を前提としたものであり、個別の株式などとは違い短期的な売買に適した商品ではないことを理解しておきましょう。
また、売却には手数料や税金が影響します。解約手数料や信託財産留保額・税金の詳細は、投資信託の交付目論見書等を確認する必要があります。投資の判断や解約のタイミングについては、専門家と相談することをおすすめします。個別の状況や目標に合わせたアドバイスを受けることで、より適切な投資判断ができるでしょう。
売却するときの注意点
投資信託を売却する際の、主な注意点について見ていきましょう。
運用成績や利益の長期的な視点
投資信託の運用成績や利益は短期的に変動することがありますが、長期的な成績を見ることが重要です。過去の運用成績や利益だけでなく、将来の見通しや運用戦略にも注意を払いましょう。
手数料と費用
売却に際しては、解約手数料や信託財産留保額などの費用がかかる場合があります。解約手数料は販売会社(証券会社)に支払う手数料ですが、設定しているところはほとんどありません。一方、信託財産留保額は解約時にファンド内に留保される手数料になります。ファンドや投資信託会社によって手数料の水準が異なるため、売却するときには関連する費用がどれくらいかかるのかを確認しましょう。
税金
投資信託の売却は、キャピタルゲイン(投資元本自体の値上がり益)に対して税金がかかります。税金の仕組みや複数の証券会社で運用している場合の損益通算のやり方などを理解し、必要な場合は税務の専門家に相談しましょう。
分散投資の維持
投資信託を売却する際には、ポートフォリオによる分散投資を考慮することが重要です。特定の資産や地域を集中的に売却して、ポートフォリオのバランスが偏ってしまわないように注意しましょう。
市場のタイミングを予測しない
市場の値動きを見ながら、タイミングを予測して売買を行うことは非常に難しいため、短期的な変動にもとづいて投資信託を売却することは避けるべきです。長期的な投資戦略にもとづいて、行動することが重要になります。
売却時にかかる税金は?
投資信託の売却時にかかる税金の計算方法は、以下のようになります。
<譲渡所得税の計算>
投資信託の売却による収益は、譲渡所得税の対象です。譲渡所得税は、利益(売却代金から元本を差し引いた額)に対して課税されます。税率は、所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%で、一律に20.315%。
例えば、投資信託を売却して利益が30万円あったとすると、その譲渡所得税は
30万円×20.315%=60,945円
となります。
iDeCoやNISA口座で保有している投資信託を売却した場合は、利益に対して非課税となります。iDeCoやNISAの非課税制度は上手に利用していきましょう。投資信託を売却した際には、利益に対しての税金だけではなく、解約手数料や信託財産留保額がかかる場合があります。
解約手数料については、かからないファンドも多くあります。しかし、信託財産留保額はファンドによってかかる場合があり、料率の設定はそれぞれです。売却する場合は、基準価額からこの割合の金額を差し引いた価額が換金されることになります。事前に交付目論見書で確認しておきましょう。
証券会社やファンドにもよりますが、売却日から代金受け取りまでに4営業日程度かかることもあります。土日や連休を間にはさむ場合は、受け取りまでに1週間以上かかることもあるため、注意しましょう。
まとめ
今回は投資信託の売却について、タイミングや注意点について見てきましたが、いかがだったでしょうか? いつかは売却することとなる投資信託ですが、タイミング・税金・手数料など、さまざまなことを気にかける必要があることがおわかりいただけたかと思います。
資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんです。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか? さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。
●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)
株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
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