暮らしを豊かに、私らしく

履き心地のよさとデザイン性を併せ持ち、足の悩みを持つ女性から高い支持を集めている『ミスキョウコ』の靴。デザイナー兼プロデューサーの木村恭子さんが、外反母趾に悩んでいた母に“おしゃれで快適に歩ける靴を贈りたい”という想いから誕生しました。1995年の創業以来、100万足以上の靴を販売し、2016年には東京・青山に旗艦店をオープン。母娘で訪れるファンも多いといいます。

そんな『ミスキョウコ』のブランドを創ってきた木村恭子さんの素顔を知りたくて、大阪のご自宅を訪問。仕事からプライベートのことまでお話を伺いました。

1回目2回目ではお仕事の話を中心にお届けしましたが、今回は、自宅のお気に入りの場所や、趣味、休日の過ごし方など、気になるライフスタイルに迫ります。

新居のコンセプトは人が集まる家

――現在、大阪と東京に店舗がありますが、どのような生活を送っているのでしょうか。

今は大阪と東京の二拠点生活をしています。生活のスタイルがまったく異なるので、メリハリがつきますね。うちには4人の子どもがいるのですが、一番下の娘も19歳になり、最近は家事もしてくれます。

――大阪のご自宅は2015年に完成したそうですね。新居を建てるときに、重視したことはありますか?

人が集まる家をつくりたかったので、玄関からすぐのところをリビングダイニングにしました。

玄関脇のリビングダイニング。実家から持ってきたピアノは、新居の雰囲気に合わせて白く塗り替えた。

庭とバスルームのデザインは夫がリクエストし、それ以外は、私が動線などを考えて間取りとレイアウトを決めました。料理が好きなので、キッチンは思い入れがあります。あとは着物をよく着るのと、お泊り客のためにも、和室は必ずつくろうと思いました。やっぱり畳があると、気持ちが落ち着きますよね。

家の中心的な存在、キッチンが一番のお気に入り

――ご自宅のお気に入りの場所はどこですか?

やはり一番はキッチンですね。フラットで、すっきりとしたデザインに惹かれ、『ガゲナウ』というドイツのメーカーのものでつくりました。対面式だから、料理をしながら家族と会話ができるのもいいですね。

すっきりしたデザインのビルトインキッチン。「4口のIHクッキングヒーターや換気扇も、使い勝手がよく気に入っています」

――料理は昔から好きなのですか?

ええ。そんなに凝ったものを作るわけではないですけれど、苦にはならないです。小さい頃から母の手伝いをしていましたし、高校のときは毎日、お弁当を作っていました。仕事などで忙しくても、インスタント食品を利用する発想があまりなくて……。あるもので作ってしまうタイプなんでしょうね。

また、人を家に呼んで、料理を作って、自分も楽しみながらもてなすのが好きなんだと思います。キッチンは暮らしの中心になる存在で、そういう面でも、今のキッチンはとても使い勝手がいいですね。フルオープンなので汚れも目立ってしまいますが、お客さんなど人の目があるときちんと掃除をするので、返ってきれいに保てています(笑)。

キッチン以外では、庭を眺められるリビングと、浴槽でゆっくり足を伸ばせて、坪庭もあるバスルームが気に入っています。リビングからはテラスに出ることができ、天気のいい日は、朝食を食べたり、お茶を飲んだり、バーベキューもよくしています。

陽当たりのよいテラスは寛ぎの場所。一緒にいるのは恭子さんが命名した愛犬「うるる」。

壁に観葉植物が飾られている開放的なバスルーム。向かって左側には坪庭がある。

月に一度、友だちを招いてモノ作りを楽しむ

――休日はどのように過ごしているのですか?

家族と一緒に過ごしたり、月に一度、自宅に友だちを招いて、モノ作りしています。ママ友や、その友だちも来たり、年齢も30代後半から60代と幅広く、モノ作りをしながら他愛もない話をして楽しんでいます。以前はトールペイントをしていましたが、今はクラフトテープでかごバッグを作っています。最近、ちょっとレベルアップして花結び編みもできるようになりました! ちなみにトールペイントもかごバッグ作りも、講師は私の姉なんですよ。

クラフトテープで作った花結び編みのかごバッグ。

――小さい頃からよくモノ作りをしていたのですか?

そうですね。刺繍や編み物など手芸もよくやっていました。また、学生の頃は生け花も習っていました。今はフラワーアレンジメントも好きで、店のディスプレイも、季節の変わり目はプロに任せていますが、通常の飾り付けは私が手掛けています。今日も花を活けて、玄関に飾っています。

季節の花を生けて、彩りのある玄関に。

趣味が高じて、インストラクターの資格を取得

――今、モノ作りで一番はまっているものは何ですか?

ポーセラーツ(※)です。2016年の青山店のオープンのとき、ポーセラーツのウェットティッシュ入れをプレゼントされたのがきっかけです。ずっとやってみたいと思っていて、ようやく昨年の2月から教室に通い始めました。

その教室は1~4名の少人数制で、先生が人間的にも素晴らしく、また、生徒も素敵な人が多くて、良い刺激をたくさんもらっています。2時間半のレッスンが本当に楽しく、空いた時間があれば教室に通い、9月にはインストラクターの資格も取りました。

今、青山店では、フラワーアレンジメントやアクセサリー作りなどのワークショップを月に1回程度、開いているんですよ。私が講師をしているのですが、新たにポーセラーツのレッスンも行なっています。

※ポーセラーツ…porcelain(磁器)とart(芸術)を組み合わせた造語。真っ白な磁器にシールのような転写紙や磁器絵付け用の絵具で絵柄を付けて、高温で焼成して仕上げるハンドクラフト。ポーセリンアートとも呼ばれています。

恭子さんが制作したポーセラーツのカップやお皿、小物入れなど。

――趣味の域を超えたのですね。

いえいえ、趣味として楽しんでいます。ポーセラーツに没頭していると、いろいろなことを忘れるというか、今は長い休みが取れないので、趣味でリフレッシュしています。でも、ワークショップはお客様と直に触れ合う大切な機会で、いろいろな話を聞けるのが楽しいですね。趣味から人とのつながりや、世界が広がるのもいいことだなと感じています。

次回は、木村恭子さんが講師の資格をとるほど夢中になった「ポーセラーツ」の魅力を語っていただきます。

*  * *

木村 恭子(きむら・きょうこ)
1968年生まれ、兵庫県出身。貴金属の卸会社に勤務し、母の介護で離職。その後、インドでボランティア活動をする。2000年に『ミスキョウコ』ブランドを発足し、デザイナー、プロデューサー業に携わる。2016年に東京・青山に旗艦店をオープン。高島屋大阪店、あべのハルカス近鉄本店、京王百貨店 新宿店の常設店以外にも、全国の百貨店でポップアップイベントを開催。青山店では、ポーセラーツやフラワーアレンジメントなどのワークショップを開き、講師も務める。

取材・文/北野知美 撮影/奥田珠貴 

 

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