昨今、男女の“出会い方”が変わっている。かつては同僚、学校、習い事、見合いなどが多かったが、現在はネットが台頭している。国立社会保障・人口問題研究所が1940年から約5年おきに行う『出生動向基本調査』がある。2022年9月に発表された最新データを見ると、夫婦の出会いの項目に「マッチングアプリやインターネット交流サービス」が新たに加わり、13.6%(約7組に1組)が“ネットで出会って婚”していることが報道された。

男女が出会うことを目的としたマッチングアプリ。日本最大と言われており、約1500万人の登録者がいるという『ペアーズ』のリリースは2012年。それから10年、40代以上の男女にもマッチングアプリは広がっている。

今回の相談者である珠子さん(65歳)は、32歳で出戻ってきて、実家に住む娘(34歳)に彼氏ができたみたいで……マッチングアプリというから心配なんです」と、キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんのもとに来た。

珠子さん夫妻は老後生活を楽しみにしていたが、離婚後の娘と孫の世話に追われている。娘は前夫とマッチングアプリで知り合っており、今回の恋人もアプリの可能性が高い。男性を見る目がない娘の素行調査と恋人の人物特定のための調査が始まった。 

【それまでの経緯は前編で】

 妻の里帰り出産中に男性の自宅に行く

娘は小柄で整った顔立ちをしており、男性からモテる。この調査をしていると、恋愛を繰り返す女性は「男性から愛されたがっている人」と「モテる自分を自覚したい人」の2タイプに分かれると感じます。

前者はダメ男にのめり込み、お金を貢いだり、生活の面倒を見たり過度な献身をする傾向があります。加えて「私を愛してくれないと、復讐をする」などと言い、刃傷沙汰に発展することも。

後者は男性をとっかえひっかえしているだけで、命に係わるトラブルになることは少ないと感じています。私は娘は後者だと踏みました。厳しいとはいえ、親に愛され、構われて育った人は、他人からの愛情をあまり求めないのです。

娘は平日9時~17時勤務で、金曜日の夜は終電帰宅が多いと聞き、勤務先の物流センター前で金曜日の1650分から待機。すると1710分に娘が出てきました。細くて小柄で愛らしい。一児の母には見えず「これは依頼者である母・珠子さんも心配するだろう」と思ってしまいました。

娘は歩きスマホをしながら駅方向へと歩きます。片道25分はあるのに、送迎バスには乗らず、途中にあるファミレスに入っていきました。

そこで待っていたのは、シャープな印象で仕事がデキそうな40代前半くらいの男性。娘はビールを頼み、男性はジュースでした。2人は楽しそうに乾杯しています。

会話の内容を聞くと、男性は同じ会社の社員で、娘の教育係だった人。さらに男性の妻は現在、里帰り出産中。男性は妻が実家に行っているのをいいことに、不倫相手(娘)を自宅(社宅)に招き、男女関係を持っていることがわかりました。

「今週末に生まれる予定。今から妻の実家に行く」という男性に対し、「出産はそんなにつらくないよ。元気な赤ちゃんが生まれるといいね」と娘。男性は少し名残惜しそうにしています。そして娘は翻弄するかのように「また会おうね」と言い、くすくすと笑っている。

歩いて駅まで向かうという娘の手を強引にとり、男性は車に乗せます。娘は自分に夢中になる男性に対して、にやりと笑っている。娘は通常は妻が座るのであろう助手席に乗り、男性と濃厚なキス。

男性は娘を駅まで送り、階段を上がるその姿を見送ると、路肩に車を停めて切なそうにしています。娘のことを愛している様子でした。

【マッチングアプリで知り合った男には塩対応……次のページに続きます】

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