関係が近いからこそ、実態が見えなくなる家族の問題。親は高齢化し、子や孫は成長して何らかの闇を抱えていく。愛憎が交差する関係だからこそ、核心が見えない。探偵・山村佳子は「ここ数年、肉親を対象とした調査が激増しています」と語る。この連載では、探偵調査でわかった「家族の真実」について、紹介していく。
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今回の依頼者は、時田牧子さん(仮名67歳)。介護施設でパートとして働く、憂いがある女性です。髪の毛を黒に染めており、体つきもほっそりしていて美しい。結婚33年、4歳年上の夫(71歳)の行動が怪しく、私たちに調査を依頼。
【これまでの経緯は前編で】
いかにもキャリアという、スーツ姿の女性と待ち合わせ
牧子さんの夫はあからさまに浮気をしているとわかる行動を繰り返している。おそらく、役員という肩書を与えられて勤務している団体に出勤するふりをして、女性と会っている可能性もある。
しかし、牧子さんは老後資金から数百万円を次男の後始末に使っており、節約したいという。確実に狙える土日に調査日を絞り、夫を尾行することにしました。
クルマ移動をするとのことで、朝から探偵カーで待機。この車は見た目は清掃業者のバンを装っていますが、最新鋭のカメラと、暗視スコープ、集音マイク、録音機などを搭載。自転車移動する対象者に対応すべく折り畳みの電動自転車も積んでいます。
朝、都内の閑静な住宅街で張り込みを開始していると、背がすらりと高くジャケット姿の夫が出てきました。背筋がスッと伸びていて、髪がきちっと手入れされているので、見た目は50代後半に見えます。
国産車の中でもグレードが高いセダンタイプのクルマに乗り、出発。第三京浜から横浜に抜けます。横浜駅近くの割高な駐車場に停めて、歩いてどこかに向かいます。あるショッピングモールの前で、スーツ姿の女性が待っていました。
女性もスレンダーで、大きなメガネをかけており、あか抜けている。依頼者・牧子さんは少女っぽく「いかにもお嬢様」という感じですが、この女性はかなりきつい感じの美人。
牧子さんに「調査に入っていると相手に悟られないように行動してください」と言っていたので、夫は全く警戒するそぶりもありません。
【車に戻ると、妻・牧子さんが行きたがっている場所へ。次ページに続きます】