事業を始めた場合や副業により収入が発生した場合、土地や建物などの不動産を売却した場合など、初めて確定申告をするに当たってわからないことも多く、手続き方法も煩雑なイメージがあるのではないでしょうか。

また、確定申告は申告期限が短いため、手続きを後回しにしておくと、気が付いたら期限がギリギリになっていることも。落ち着いて申告をするために手続き方法がわからない場合には、なるべく早く相談して正しい手続きをしていただきたいと思います。

そこで今回は、日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)の税理士、中川義敬が、長年にわたる税理士業務を通じて得た知識や経験に基づき、確定申告をする場合の相談先、そのタイミングについてご紹介いたします。

目次
確定申告についてどこで相談すればいい?
確定申告を相談するタイミングとは?
税務署で相談する場合
税理士に相談する場合
まとめ

確定申告についてどこで相談すればいい?

確定申告の方法を確認したい場合には、税務署か税理士に相談するのが良いでしょう。確定申告は税金の計算と納税が必要になるため、それを管轄している税務署、もしくは業務として国家資格を有している税理士が適任だと思われます。

自分で書類を集めて計算を行なう予定の方は税務署で、計算から提出まで部分的にもしくは全ての工程をお願いしたいと考えている方は、税理士に相談していただくイメージです。

確定申告を相談するタイミングとは?

確定申告の受付期間は、原則2月16日から3月15日までです。確定申告は1月から12月までの収入や経費を集計することと、その集計結果を確定申告に転記のうえ、税額の計算をする流れになります。できれば、12月までに準備書類や収入などの集計方法について相談のうえ、確定申告の受付が開始したら、すぐに提出ができるように準備しておくのが理想的です。

税務署で相談する場合

ご自身で確定申告に必要な資料を回収のうえ、税金の計算をしようとお考えの方は、税務署に相談をすることをお勧めします。税務署は確定申告の作成方法について相談に乗ってくれますが、基本的には自分で申告書の提出が必要です。そのため、時間に余裕がある方や、申告の内容がそれほど複雑でない方は税務署に相談されると良いでしょう。

相談方法は?

税務署には、下記いずれかの方法で相談が可能です。

・確定申告電話相談センター

国税に関する一般的なご相談について、各国税局に設置する「国税局電話相談センター」で、国税局の職員が確定申告に関する質問事項に答えてくれます。平日の9時から17時まで対応してもらえます。

・直接税務署の窓口で相談する

実際に書類を見てもらって相談をしたい場合や、複雑な内容であれば、直接税務署の相談窓口に行くのが良いでしょう。確定申告時期は専用の相談会場を設けているところが多くありますが、持参するべき書類の確認が必要なことから、電話で相談日時等を事前に予約することをおすすめします。

・チャットボット(ふたば)

簡単な質問であれば、土日、夜間でも24時間利用できるチャットの機能が便利です。パソコンや、スマートフォン、タブレットから質問したいことをメニューから選択するか、自由に文字で入力いただくとAI(人工知能)が自動回答します。あまり複雑な質問は、期待通りの回答が得られませんが、基本的な内容であれば、概ね回答をしてくれます。

メリットや注意点とは?

税務署への相談は全て無料で対応してくれるうえ、何回相談をしても問題ありません。しかし、申告のために必要なことは教えてくれますが、節税の対策や何らかの優遇税制に関してシミュレーションなどはしてくれません。あくまで自己の責任で計算や納税が必要です。

また、確定申告時期は、電話回線や相談会場が混んでいることがあるため、余裕を持った対応が必要だと思われます。

税理士に相談する場合

税理士は税務のプロであり、確定申告の作成方法はもちろん、節税の対策やご本人が気づいていない優遇税制のアドバイス、複雑な案件であればシミュレーションを行なうことにより、有利不利判定まで実施してくれます。

相談方法は?

多くの税理士事務所では、対面により相談を受け付けていますが、現在はオンラインでも対応しているところも多く、また土日でも対応可能なところもあります。インターネットから検索をすれば、多くの税理士事務所が確定申告について相談に乗ってくれるでしょう。

メリットや注意点とは?

多くの税理士事務所では、申告に必要な資料を渡せば、税金の計算はもちろん申告書を税務署に提出したうえで、納税に必要な納付書の準備など、確定申告に必要な手続きを丸ごと引き受けてくれます。

また、自分が気づいていなかった優遇税制提案や節税対策についても教えてくれます。申告する時間が取れない方や、複雑な案件でお困りの方は税理士に相談するのがお勧めです。

ただし、相談や確定申告書の作成には報酬が必要となります。初回のご相談をする際、ご自身が依頼する内容について、どのくらいの費用が必要なのか、オプション扱いとなる部分があるのか、後々報酬面でトラブルにならないように、しっかりと確認しておくと良いでしょう。

まとめ

初めて確定申告をする方は、そもそも何から手をつけていいか分からない場合が多く、またインターネットなどを通じて調べても、用意すべき書類の名前と実物がリンクしないときもあります。気が付いたら申告期限が近付いてしまっている、なんてことも起こり得るでしょう。

今回はその相談先として、税務署と税理士についてご紹介をしました。官公庁の一つである税務署と、税務のプロである税理士とは立場が違います。しかし、いずれも確定申告書の手続きに関して親切に教えてくれますので、忙しさの程度や申告内容の複雑さなどを考慮して、早めにご相談することをお勧めいたします。

●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)

日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。

日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com

構成・編集/松田慶子(京都メディアライン ・https://kyotomedialine.com

 

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