2022年より日本では、世界的なエネルギー価格の高騰により原材料費の高騰が続いています。それに加え、急激に円安が進んだことの影響を受け、物価が上昇し問題視されています。このように、私たちの生活に大きく影響を与える急激な「円安」ですが、私たち個人でできる対策はどのようなものがあるのでしょうか? また、国や企業が行なう「円安対策」とはどのようなものなのか。今回は、「円安対策」について見ていきましょう。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、ファイナンシャルプランナー・藤原未来がわかりやすく解説します。

目次
個人でできる円安対策とは
政府が行なう円安対策
企業の円安対策
まとめ

個人でできる円安対策とは

2022年頃から、物価の上昇が顕著になってきました。様々な品目が繰り返し値上げされており、私たちの生活に大きな影響が出ています。円安だけが物価上昇の要因ということではありませんが、急激な円安が影響を与えていることは間違いありません。こうした急激な円安に対して、私たち個人がとれる対策とはどのようなものがあるのでしょうか?

外貨を保有する

円安とは、外国の通貨に対して相対的に円の価値が下がること。見方を変えると、円に対して外国の通貨の価値が上がるということになります。そこで、円安対策の一つとして外貨を保有するということが考えられます。

例えば、「1ドル=100円」の時に、100万円をドルに替えて1万ドルを保有したとします。円安が進み「1ドル=150円」となれば、保有している1万ドルは150万円の価値になるのです。外貨を保有するといっても、実際に外国の紙幣や硬貨を持ったり外貨預金に預けたりということだけではありません。外貨建ての生命保険や個人年金保険といった商品も、外貨を保有していることになります。

為替は様々な国の通貨と取引されており、為替変動も通貨ごとで異なります。様々な通貨を分散して保有することで、為替変動によるリスクをコントロールすることが可能となるのです。

資産運用に幅広く活用されている投資信託には、様々な国の株式や債券を組み入れている商品があり、投資信託を保有することでドルやユーロなど様々な国の通貨を分散して保有することになります。しかしながら、投資信託は株式や債券などを組み入れているため、株式や債券の価格の変動リスクがあり、場合によっては元本割れする可能性を伴います。

正しい資産運用の手法を学び実践することで、元本割れを回避しある程度の利回りを期待できるとすれば、個人でできる円安対策としては有効な対策であると言えるでしょう。

政府が行なう円安対策

政府が行なう円安対策としては、どのようなものがあるのでしょうか? ここでは3つの視点から見ていきましょう。

円安の進行に歯止めをかける

急激な円安に歯止めをかけるためにとられる対策が、「為替介入」です。為替介入とは、日銀が保有しているドルを売って円を買うことで、一時的に円高へと誘導する対策のこと。

実際に2022年9月に1ドル=145円台後半となった時点で、日銀は為替介入を行いました。その結果、一時1ドル=140円台前半まで、5円以上円高方向に動きました。その後も、10月には1ドル=150円台前半という約32年ぶりの円安水準となり、日銀は為替介入を繰り返したとみられています。

円安によるデメリットをカバーする

物価高などに対応するための経済対策として政府が行なう円安対策には、減税や補助金・支援金などの対策が考えられます。2022年10月に発表された経済対策では、電気料金の負担を緩和するための補助や都市ガスの料金負担を支援するといった対策が決定されました。

例えば、都市ガスの支援では、家庭及び都市ガスの年間契約量が 1000 万㎥未満の企業等に対して1㎥あたり30円の支援をするとしています。その他、政府は企業に対して賃上げを要請するなど物価上昇への対策にも取り組んでいます。

円安によるメリットを生かす

外国の人からすると、円安が進むことで日本への旅行がしやすくなります。2022年10月に発表された経済対策では、外国人観光客の需要、いわゆる「インバウンド需要」を喚起するため、地域の観光振興支援や、老朽化した宿泊施設の改修などにかかる費用を助成するなどの対策が盛り込まれました。支援を通して地域の魅力を高め、外国人観光客に長期滞在してもらうことで、インバウンド消費の拡大につなげることをねらいとしています。

企業の円安対策

2022年の4月に公表された帝国データバンクによるアンケート結果から、企業の円安対策としてとられている対策についていくつか解説します。

<図表1 円安に関する企業の対応状況アンケート 具体的な対応策(複数回答)>

出典:帝国データバンク 円安に関する企業の対応状況アンケート(調査結果より抜粋)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p220406.html

販売価格への転嫁

円安対策を行っている企業で、最も多い対策は販売価格への転嫁です。エネルギー価格の上昇や原材料費の高騰により、コストアップに苦しむ企業ではやむを得ず製品の価格に転嫁するという対策を余儀なくされています。値上げは顧客離れや消費の減退によって景気後退が懸念されるため、苦渋の選択となっていることでしょう。

燃料費等の節約や固定費の削減

燃料費や固定費の削減は、企業の自助努力に他なりません。コストカットできる部分には限界があるため、効果的とは言い難い対策です。

輸出の拡大

輸出の拡大を対策として挙げた企業の割合は少ないのですが、輸出は円安が進むことがメリットとなります。そのため可能であれば有効な対策であることは間違いありません。輸出が増えることで、日本全体の貿易収支も改善し、円の需要が高まれば円高に進んでいくことにつながります。

アンケートの回答を見ると、とられている対策の多くが企業にとって厳しい内容であることが伺えます。政府の企業支援に期待したいところです。

まとめ

今回は、「円安対策」について個人・政府・企業のそれぞれの対策について見てきましたがいかがだったでしょうか? 為替相場は変動していますので、いずれはまた円高に振れることもあるでしょう。そのための備えとして、資産を様々な国の通貨に分散し保有することは対策として効果的です。外貨の保有の仕方などは、ファイナンシャルプランナーに相談することをおすすめいたします。

資産運用や投資のアドバイスは、今や銀行などの金融機関の窓口でもさかんに行われています。同時に、インターネット上でもYouTubeやSNSを通じて色々な人がそれぞれの立場から投資術などを発信しています。しかし、それらのアドバイスは本当にあなた自身に適したものなのでしょうか? 

さまざまな金融商品が出回っている世の中だけに、あなたの味方になって守ってくれる相談相手を持つことが必要な時代になっています。保険や金融商品を「販売しない」独立系のFPは、中立的かつ客観的な立場から相談に乗り、あなたのライフプランに合った正しい選択肢を示してくれます。

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。
問い合わせ先:03-6403-5390(株式会社SMILELIFE project)

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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