正しい意味を理解し、適切に漢字が使えているのか、疑問を感じることが増えていませんか? 適当に漢字を使ってしまい、気付かないところで「恥をかいている」ということがあるかもしれませんね。

Google先生やデジタルデバイスの出現により、便利になった反面、情報の中身については十分な吟味が必要な時代になっております。あなたの“漢字の知識”は確かでしょうか? もう一度、確認しておいても良いかもしれません。

「脳トレ漢字」第135回は、「行脚」をご紹介します。「諸国行脚」や「謝罪行脚」といった言い回しを見聞きしたことがあるのではないでしょうか。

脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。

「行脚」はなんと読む?

「行脚」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「行」の読み方が少し変わっていて……

正解は……
「あんぎゃ」です。

『小学館デジタル大辞泉』では、「仏道修行のために、僧侶が諸国を歩き回ること」と説明されています。「遍参(へんさん)」「遊行(ゆぎょう)」とも呼ばれるこの行為は、僧侶が一か所に留まらず、常に遍歴して仏法を学ぶ姿勢を表します。

本来、仏教の修行に対してのみを使われる言葉でしたが、次第に「何かしらの目的を持って様々な場所をめぐること」という意味ができました。僧侶に限らず、四国八十八箇所を回る「お遍路さん」も「行脚」のひとつです。また、お詫びのために各方面の人々をめぐる「お詫び行脚」や、反対にお礼を言いに回る「お礼行脚」などもあります。仏教に限らず、日常生活の中で「○○行脚」という言い回しがされています。

「行脚」の漢字の由来とは?

「行脚」を構成する漢字を一文字ずつ見ていきましょう。「行」は「いく、たび」を、「脚」は「あゆみ、あしどり」を意味します。字のごとく「“脚”で“行”く旅」を、表す言葉です。

「行」を「あん」と読むのは、中国語の発音による唐音(とうおん)だからです。他にも「行灯(あんどん)」「行火(あんか)」なども同様の読み方が使われています。

「行脚」を表す言葉「雲水」とは?

「行脚」は仏教の言葉で、修行の旅を行うことを指します。この修行を行う僧侶は「雲水(うんすい)」とも呼ばれるのですが、一体どういう意味なのでしょうか。

「雲水」とは「行雲流水(こううんりゅうすい)」の略で「行く雲、流れる水のように定まった住所もなく修行すること」を意味します。禅宗では「行脚」は基本的な修行方法として重んじられていました。日本においては、鎌倉時代から盛んに行われたとされます。

今日ではほとんどその姿は見られなくなりましたが、「行脚」という言葉そのものは日常に溶け込んでいると言えるでしょう。

***

いかがでしたか? 今回の「行脚」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 仏教に起源を持つ言葉は、読み方が難しいものが多いです。意味の変遷も踏まえて、しっかりと記憶に定着させましょう。

来週もお楽しみに。

文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/貝阿彌俊彦(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB

 

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