夫は面倒臭そうに「子どもはあの子だけで十分」と言った

夫とは新卒で入社した会社で出会い、上司と部下という関係だった。元上司になってから付き合うが、“元”になったのは桃子さんが退職したのではなく、相手側の転職。転職後に恋愛関係になり、結婚に至った。

「同じ会社にいたときは私が一方的に憧れていただけです。会社をやめると知って、そこから私から連絡をし続けて振り向いてもらえました。

恋愛関係になったのは相手の離婚から1年とちょっと経ったぐらいの時期でした。少し早い気もしていたので、その後ろめたさもあって、夫の結婚や離婚、元奥さんのことを知る会社の同僚には話せませんでした。もっと相談していたら、結婚を思い止まれたのかもしれませんね」

2人は2年の交際期間を経て結婚。結婚してすぐに桃子さんは子どもを欲しがったが夫はそれを拒否。「子どもはあの子だけで十分」と離れて暮らす子どものことを理由にした。

「離れて暮らす子どもだけに愛情を注ぎたいという理由ではなく、『かわいいけれどお金かかるだけでしょ』と言い放ちました。

そう言われたことを夫のことを知る同僚に相談したら、夫の離婚は子どもが1歳のときだったようで、『授かり婚をして、子どものことが可愛いと思っていたら結婚生活2年で別れたりするかな』と夫の人柄について疑問を投げかけられました……」

子どもについて話し合いを重ねたものの、平行線のまま夫婦生活もなくなってしまったという。離婚という話も出ていたが夫側はそれを拒否。やっと離婚できたときには桃子さんは30歳になっていた。

「子どもは作らないけど、離婚もしない。『夫婦2人で仲良く暮らしていきたい』というのが相手の要望でした。私とはすべて逆。子どもを作らないんだったら離婚してくださいと伝えても、話し合いは平行線のままでした。会話がなくなる期間を経て、相手が私の機嫌取りに物や旅行をプレゼントしてくれて少し仲良くなる期間があって、また話し合い、その繰り返しです。

でも、30歳を超えて、ここから新たな人と出会い、子どもを望むなら急がないといけない。その思いを泣きながら夫にすべてぶつけて、やっと別れることに同意してくれました。

親などを巻き込めばもっと早く離婚できたのかもしれないけれど、周囲にバレたくなかったので。姉たちは普通に子どもを望める人と結婚できているのに、私はこんなことで揉めているのが恥ずかしかったんです」

【33歳のときに今の夫と再婚するも、子どもを授かる以前に、夫とはコミュニケーションさえままならない状況に陥ってしまった理由とは。~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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