高校の先生とラブホテルに入って行った
晶子さんは、36歳から46歳までの10年間、一回も欠かさず美樹さんの家に来ていた。
「毎月、11月になると判で押したように来て、3~4泊して帰っていくんです。私も晶子に主人には言えないグチを聞いてもらったり、姑や職場、同級生の噂話をするのが楽しかったので、来るだけなら別に構わなかったんです」
少々とげを含んだ物言いに、晶子さんは手土産などを持ってきたのだろうか、もしくは、滞在費として、いくばくかの現金を置いてくれたのだろうか、と質問してみた。
「そんなの、全然ありませんよ。高校のときと同じ感覚で、手ぶらで来て、そのまま帰っていく。でも、5年前に“今年でおしまいにしない?”と言ったのは、ウチの息子が嫌がったからなんです」
美樹さんの息子は、町一番の進学校に通っていた。母・美樹さんと晶子さんの後輩になったのだ。息子はサッカーをやっており、試合で県庁所在地がある街に遠征をした。その帰りに、晶子さんと担任の教師がラブホテルに入るところを見てしまったのだ。
高校生にもなれば、男女がホテルに入れば何をしているかは知っている。加えて、その教師は既婚者だった。
「息子は潔癖なところがあるので、“アッコおばちゃんは、キモい”ことになるんでしょうね。そのほかにも、晶子は地元の男たちを手玉に取っているようなところがありました。美人だしミステリアスだし、色気もある。私の主人に“おひとつどうぞ”とビールをお酌する姿は、私でさえドキッとしましたもの」
美樹さんの夫は、「晶子さんはいいんだけど、俺とふたりっきりになりたがる」と言っていた。
「たぶん、晶子は“ひとのもの”を自分に惹きつけるのが好きなんでしょうね。小学校高学年から匂い立つような色気がありましたし、高校時代から彼女がいる男の子に手を出していたし、先生と交際している噂もありましたから」
【生活が苦しい私と、母校にウォータークーラーを寄付する親友……その2に続きます】
取材・文/沢木文
1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。連載に、 教育雑誌『みんなの教育技術』(小学館)、Webサイト『現代ビジネス』(講談社)、『Domani.jp』(小学館)などがある。『女性セブン』(小学館)、『週刊朝日』(朝日新聞出版)などに寄稿している。