義両親は歓迎ムード。授かり婚も大喜びだった
短大を卒業して都内で働き始めた2番目の姉を追いかけて、郁恵さんは都内の大学に進学、同時に姉と2人暮らしを始める。今の夫は社会人になってから飲み会で出会った男性。付き合って2か月で同棲となったが、その理由は一緒に暮らしていた姉の結婚だった。
「姉が結婚するから、1人で家賃を払っていくのは厳しいとなっていたところ、付き合っていた彼氏が『一緒に住もうか?』と。お金のために軽い気持ちで同棲をスタートさせたんです。当時私は24歳、相手は26歳でまだ付き合って2か月だったから結婚なんてまったく意識していませんでした。
でも、そんな気持ちで同棲したのに、付き合いが長くなっても結婚の気配さえなかったらやっぱり焦ってきて。30歳を超えてもずっと同じ場所で暮らして何の変化もない。私から結婚を迫って無理なら別れるつもりだったときに、妊娠が発覚したんです」
8年付き合っている間にお互いの両親に挨拶に行ったことは一度もなかった。初めての挨拶ではひどく緊張したものの、義両親は拍子抜けするぐらい歓迎ムードだったという。
「妊娠がきっかけで結婚となっただけなので、それまで一度も夫は親に紹介してくれていませんでした。だから私も意地で一度も自分の親を紹介しなかったんです。
まずは私の両親に挨拶に行って、『お互いいい年齢なんだからこれからちゃんとしなさい』と一喝されて、義両親への挨拶でも同じことを言われるのかと緊張していたら、『体調はどう? 私たちから出向くべきだったのに本当にごめんなさい』と言われて。笑顔で『おめでとう』と言ってくれたときには嬉しくて泣いちゃいましたね」
歓迎ムードの義母はそこから病院にも同行するように。義母の善意の押し売りは結婚の報告とともに始まった。【~その2~に続きます】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。