税金は日常生活の中でとても関わりが深いものです。お給料から所得税や住民税を納め、ご自宅をお持ちの方は固定資産税を納め、お店で買い物をすれば、たとえお子さんであっても消費税を納めています。そのほかにもいくつもの種類の税金があり、納めた税金は様々な公共サービスに使われています。

そこで今回は、日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)の税理士 中川義敬が、長年にわたる税理士業務を通じて得た幅広い知識や経験に基づき、税金の種類や使い道についてご紹介したいと思います。

目次
税金とは?
税金の種類や仕組みとは?
税金の使い道とは?
まとめ

税金とは?

税金とは、公共サービスを受けたり、公共施設を使用するために支払う会費のようなものだといわれます。そして税金は、国や地方公共団体が活動を行ううえで主要財源となるものです。公共サービスは身近なところでは、医療・警察・消防・ごみ収集が挙げられ、公共施設とは学校・道路・公園などが挙げられます。

もっと大きな視点では、年金や介護といった社会保障関係費用や国の防衛費などで、これらは私たちの生活に欠かせないものです。私たちが一個人としてはとても負担できないことがあります。それを税金という会費を国または地方公共団体に、会社を含めた国民が広く負担することで、国民がこれらのサービス等を無料または安価に利用できるようになっているのです。

税金の種類や仕組みとは?

日本にはさまざまな種類の税金がありますが、これらを3つの観点に着目して分類することができます。

・何に税負担を求めるか
・誰が課税主体か
・誰が税を負担し(実質負担者)、誰が税を納めるか(納税義務者)

何に税負担を求めるか

・所得税、住民税、法人税… 個人や会社の所得(収入から経費を引いたもの)に対して課税する所得課税
・消費税や酒税、たばこ税… 個人や法人が行う物品の消費やサービスの提供などに対して課税する消費課税
・相続税や贈与税… 個人が行う資産の取得に対する課税
・固定資産税… 資産の保有に対して課税する資産課税

誰が課税主体か

国に納める税金を国税、地方公共団体に納める税金を地方税といい、地方税はさらに道府県税と市町村税に分けられます。国税の主なものは法人税・所得税などです。地方税の主なものは住民税や固定資産税などになります。

 誰が税を負担し(実質負担者)、誰が税を納めるか(納税義務者)

税金を納める人と負担する人が同じ税金を直接税といい、主には法人税、所得税、相続税、住民税が該当します。一方、税金を納める人と負担する人が異なるものを間接税といいます。

たとえば、消費税や酒税などは、消費者は税負担をしていますが直接税金は納めません。事業者を通じて納める税金であるため、消費者は間接的に税金を納めていることになります。

誰が税額を計算するのか

税金の計算方法は、下記の申告納税方式と賦課(ふか)課税方式の2種類に分かれます。

・申告納税方式… 所得税の確定申告のように納税者が自分で確定申告書を提出して、確定した税額を納付します。主に所得税や法人税などの国税はこの方式です。

・賦課課税方式… 固定資産税や住民税のように、納税者が自ら申告等の手続きをとらなくても、決められた時期に税額の通知書が届いて、確定した税額を納付する方式です。

税金の使い道とは?

国へ入ってくる歳入の約60%が税金で、下記の用途に応じて様々なところで使われることになります。

社会保障費

一番多く使われているのは、わたしたちの健康や生活を守るための社会保障費です。国の歳出の約33.7%となっています。社会保障費とは、国民が安心して生活していくために必要な医療・年金・介護・福祉といった公的サービス(国や地方がする仕事)のことをいいます。

深刻な少子高齢化に伴い、社会保障の給付と負担が、経済の伸びを上回って増大するという予想もあります。将来にわたって経済・財政と均衡のとれた社会保障制度を安定的に持続させるためには、制度の構造改革を進めていく必要があるといわれています。

国債費、地方交付税交付金

次に、国の借金を返したり、利子を払ったりするための国債費が約22.6%、そして都道府県や市区町村の財政を補うための地方交付税交付金等で、約14.8%の歳出となっています。地方交付税交付金等とは、地方公共団体(都道府県や市区町村)が、日常生活に必要な教育・警察・消防・環境衛生・生活保護などの公的サービスを行うための財源です。

本来は、各地方公共団体の税金収入から公的サービスを行うべきですが、その地域の経済状況などによって、税収入の格差があります。そのため、それぞれの財政力に違いがあります。地方交付税交付金等は、公的サービスが各地方公共団体の財政力によって不均衡が生じないよう、国が地方公共団体の財政力を調整するために支出するものです。

公共事業関係費

続いて、道路や住宅の整備のための公共事業関係費で約5.6%が歳出されています。公共事業関係費とは、道路や住宅、下水道、河川の堤防やダムなど、社会経済活動や国民生活、国土保全の基盤となる施設の整備に使用されているものです。

日本におけるこれらの施設整備水準はすでに高く、公共事業は無駄が多いとの風潮もあるでしょう。しかし、近年において甚大な被害をもたらした大震災や、毎年のように発生する水害などの天災や設備の老朽化などもあり、公共事業が再評価されている面もあるようです。

文教及び科学振興費

最後に、教育や科学技術の発展のための文教及び科学振興費の歳出が約5%です。文教及び科学振興費とは、教科書にかかる費用や公立小・中学校の教員の給与、国公立大学法人・私立学校の援助のために使用されているものです。

そのほかにも宇宙開発事業、海洋開発、コンピュータなど情報通信(IT)の研究開発などにも使用されています。科学技術の発展は、日本の国際競争力強化につながり国際的な取り組みにも貢献することになるといわれています。

また、それ以外にも国の防衛のための防衛関係費や開発途上国の経済援助のための経済協力費などに使われています。

まとめ

現在の日本の状況は、深刻な少子高齢化や、国の借金や利子を支払う国債費の増大など、財政的に厳しいといえるでしょう。税金は多様な公共サービスに充てるための財源として使われており、今後はその使い道についても変化していくことが考えられます。

税金は、安心して暮らせる社会保障制度をはじめとした、よりよい社会を作っていくために必要なものです。そのため税金の種類や使い道を知ることは大切なことといえるでしょう。税金の種類や使い道にご興味のある方は、経験豊富な税理士にお問い合わせすることをおすすめします。

●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)

日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。

日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com

構成・編集/松田慶子(京都メディアライン ・https://kyotomedialine.com

 

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