妻からの言葉のDVで離婚。別れるまで毎日泣いていた

結婚後はすぐに妊活をスタートするも1年経っても自然妊娠はしなかった。妻側が検査など、不妊治療をスタートさせるも妊娠には至らず。新一さんも検査を受けることになり、そこで男性不妊が発覚する。

「精子の量と運動率が低くて、中等症というレベルでした。自然妊娠は難しく人工授精から行っていくことになり、幸いなことに4回目で妊娠に至りました。不妊治療中は、自分が原因なのに、妻への負担だけが大きかった。それがとても申し訳なく感じて、失敗する度に、負い目みたいなものが強くなっていって……。

それでも、やっとの思いで子どもが生まれたときには、頑張ってくれた妻と子供を一生幸せにすると誓ったんです」

妻は妊娠を機に仕事を辞め、新一さんだけの稼ぎで家族を支えていくことに。元先輩後輩という立場もあり、なかなか増えない新一さんの給料に対して、妻は強く当たってくることが多くなっていく。これが言葉のDVとなり、離婚事由になった。

「会社での私の仕事ぶりを知っている妻からしたら、私の働き方は仕事ができるという認識ではなかったんでしょう。家で気遣いが足りないと『会社でもそんなやつだったよね』とか、『そりゃ給料も上がらないわ』とか、非難されることが増えました。毎日家に帰るのが嫌になり、妻の目を見て話せなくなってしまったんです。話す時間を減らすために、家に帰ってもせかせかと家事をし続けました。その姿は、自分の母のようでしたね。とても惨めな気分になり、妻に何か言われる度に涙が止まらないときもあって……。そんな姿にも無関心な妻を見て、もう無理だと思いました。

離婚は妻から『もう離婚する?』と聞かれて、『はい』と答えました。ただ解放されたくて、即答していました」

一時は身辺がすっきりするも、コロナ禍によって追いつめられていった。
~その2~に続きます】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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